
1 長崎地裁令和3年6月21日判決について
長崎地裁令和3年6月21日判決は、じん肺患者が間質性肺炎に罹患し、それが原因で死亡した場合について、死亡について労災と認定しました。
間質性肺炎はじん肺患者に珍しくないものであり、参考価値が高いと思うので、以下、ご紹介します。
同判決は、じん肺患者であり、間質性肺炎に罹患した患者が間質性肺炎の悪化により死亡したため、遺族が労災請求をしたものの、労災として認定されなかったため、不支給決定を争って起こした訴訟についての判決です。
同判決は、じん肺患者の間質性肺炎がじん肺又は粉じん曝露に起因すると言えるためには(つまり、労災と認められるためには)
ⅰ じん肺患者の粉じん曝露歴や、じん肺、間質性肺炎についての診療経過等に照らして、医学的に相当の根拠をもって、間質性肺炎及びその増悪がじん肺又はその原因たる粉じん曝露に起因することの具体的可能性があると認められること
ⅱ かつ、これを否定する医学的根拠があるとは認められないこと
ⅲ 他原因疾患の具体的可能性があるとは認められないこと
との要件が必要であるとしました。
その上で、判決は、患者らが、炭坑、造船所、自動車整備工等として粉じんに曝露する職場で業務に従事してきたこと、担当医がじん肺が原因で間質性肺炎が増悪したと意見書を書いていること等を踏まえ、じん肺などが原因で間質性肺炎が悪化したと認定しました。
被告側は、じん肺に伴う間質性肺炎は慢性経過をたどるので急性増悪をした事例についてはじん肺が原因ではない等と主張しましたが、裁判所は、じん肺が原因で急性増悪を生ずる事例も報告されている等として、被告の主張を排斥しました。
同判決は、厳密な立証がない場合でも、じん肺患者に生じた間質性肺炎について労災と認定したものであり、今後の患者救済に資するものと考えられます。
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