高速道路上での自動車・バイクと歩行者の交通事故の過失割合

交通事故

1 高速道路上での自動車・バイクと歩行者の交通事故の過失割合

高速道路には歩行者の立ち入りは禁止されています。

ですから、別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」332図では、高速道路上での自動車・バイクと歩行者の交通事故については、歩行者の過失割合80%というのが基本とされ、自動車・バイクの著しい過失がある場合に10~20%、重過失がある場合に20~30%修正をされています。

他方、同じ高速道路での事故でも、駐停車車両の近傍の歩行者と自動車・バイクの事故では、歩行者の基本的過失は40%、歩行者が停止表示器材を設置していた場合には20%、自動車・バイクの著しい過失がある場合は10~20%、自動車バイクの重過失がある場合は20~30%の修正がされることになります。

2 裁判例

駐停車車両の近傍の歩行者と自動車の事故については、福岡高裁平成14年8月29日判決が、歩行者の過失をかなり小さく評価しています。

同判決は、

高速道路においては,原則として人の進入は禁じられているから,高速道路を通行する車両の運転者は,それを前提として走行することが許されるのであり,事故等のため,非常措置を講ずる必要がある場合においても,一般道路におけるのとは異なり,通行する車両の走行に十分に注意する必要があるというべきである。そして,前記認定のとおり,Mが発煙筒を焚いて後続の車両に対する注意を喚起する措置をとっていたのであるが,本件直前事故によりK車両は追越車線を塞ぐ形で停止していたのであるから,なお後続の車両がK車両に衝突する危険はあったというべきであり,そのような状況のもとでK車両付近にIが佇立していたことは過失相殺をする上で考慮されるべき事情といわざるを得ない。」
「しかしながら,被控訴人Gは,発煙筒が焚かれるなどして,事故等の緊急事態が発生していることを認識できる状況であったにもかかわらず,制限時速を40キロメートル超過した時速120キロメートルで走行した上,居眠りをしていたことから,K車両に気づくのが遅れ,これが本件事故の主たる原因となっていると考えられるから,被控訴人Gの過失は著しく重いというべきである。これらの事情を総合考慮すれば,Iの過失割合は5パーセントと解するのが相当である。

として、歩行者が発煙筒を炊いていたなどの事情を踏まえ、歩行者の過失を5%としました。

発煙筒を炊いたので20%、自動車の重過失30%、計50%で本来は歩行者の過失は10%ですが、当該事案における自動車側の過失の大きさに鑑み、特に被害者の過失を小さくしたと言えるでしょう。

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