傷病休職と復職、退職、解雇

労災、解雇問題

1 傷病休職とは?

傷病休職とは、労働者に対し、一定期間業務外の傷病による休職を認めるものです。

このような制度を設けるかどうかは会社次第です。

また、傷病休職の際に賃金を支給するかどうかも会社次第です。

治癒しないまま傷病休職期間を経過した場合、自然退職か解雇となり、治癒していれば復職ということになります。

2 「治癒」とは何か?

そこで、傷病休職制度における「治癒」とは何かが問題となります。

この点、休職時点で就業していた職を遂行することができないとしても、現実的にその労働者が担当しうる他の職を遂行しうる場合、治癒と言え、解雇等は許されません。

この点、最高裁平成10年4月9日判決は、「労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。そのように解さないと、同一の企業における同様の労働契約を締結した労働者の提供し得る労務の範囲に同様の身体的原因による制約が生じた場合に、その能力、経験、地位等にかかわりなく、現に就業を命じられている業務によって、労務の提供が債務の本旨に従ったものになるか否か、また、その結果、賃金請求権を取得するか否かが左右されることになり、不合理である。」と同旨を述べています。

就業が可能であり、治癒していると言えるかどうかについて、東京地裁平成29年3月29日判決は、労働者側に立証責任があるとしています。

ですから、立証を尽くしても真偽不明の場合には、治癒していないとして解雇等が有効とされることになります。

なお、治癒しているかどうか判断するためにテスト出勤がされることもあります。

名古屋高裁平成30年6月26日判決は、テスト出勤中について賃金の定めがない場合、最低賃金額が支払われるべきとしています。

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