いじめと学校側の法的責任

学校でいじめがあった場合、被害者側から加害生徒側への賠償請求とは別途、学校側への賠償請求が認められる場合があります。

以下、説明します。

1 いじめ防止義務

学校の教諭は、教育活動を行うにあたり、いじめその他の加害行為から生徒の心身の安全を守り、生徒に対し良好な学習環境を整備すべき義務を負います。

この義務に違反し、いじめが発生した場合、学校側は、被害者側に対し、賠償責任を負う可能性があります。

自殺の予見可能性があるのであれば、自殺についても賠償責任を負うことになります。

2 いじめの調査・対応義務

学校でいじめにかかる重大事態が発生した場合、教諭らは調査票等を用いた網羅的な調査・加害生徒への指導・被害者への支援を行う義務があります。

ここで、重大事態とは、生命、心身又は財産に(対する)重大な被害、 相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている状態がある事態を言います。

さいたま地裁令和3年12月15日判決は、

・教諭らが、被害者母から、被害者が部員らとのトラブルで投稿できなくなり、自傷行為及んだ旨を伝えられた

という状況のもとでは、

・教諭らは、重大事態の発生を認識し、加害生徒らの被害者に対する言動やその背景事情等について調査票を用いる等した網羅的な調査を行い、

・その結果に応じた適切な方法で、いじめを防止し、不登校を解消するため、加害者らへの指導や被害者への支援を行う

との義務を負っていた、しかしその義務が果たされなかったとの判断を示しました。

自死の可能性があったケースについては、福岡地裁令和3年1月22日判決は、「このようないじめ被害発見の端緒を捉えた甲教諭としては,直ちに本件自死未遂について校長や教頭に報告し,組織として,自死未遂の原因となった背景事情等に関する情報を教員間及び教員と保護者との間で共有し,相互に協力して,本生徒の学校生活や他の生徒との関わり等について,注意深く観察し,他の生徒等からも情報収集するなどして,本生徒に対するいじめやトラブルの有無等について調査し,その安全を確保すべき義務があった。」としており、調査・安全確保義務を認めています。

いじめ発見の端緒があった場合には、重大事態ではないとしても、学校側にはいじめがあるかどうか調査する義務があるのであり、それに違反した場合には損害賠償の問題が生じます。

3 新潟でいじめや学校事故のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

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