
1 昔作られた離婚届用紙を提出して良いか?
夫婦喧嘩の際に、双方が離婚届用紙に記載をし、それがそのまま提出されないまま長年月が過ぎるということがよくあります。
そのような場合、離婚届用紙には双方の署名等がなされているので、提出して良いかと聞かれることが良くあります。
しかし、長年月経過した場合、離婚の意思が継続しているのかどうか不明と言わざるを得ない場合が多いと思います。
ですから、法的責任を問われたり、トラブルとなることを防ぐという観点で、相手の許諾なく離婚届をするのは控えた方が良いと思います。
そのような場合は、改めて離婚意思を確認し、それでらちがあかない場合には離婚調停を申し立てるなどのことを検討すべきでしょう。
2 離婚届出が不法行為となるとされた裁判例
この点、東京地裁令和4年3月28日判決は、以下の事情において、妻の署名押印のある離婚届用紙により、作成の3日後に離婚届出をした夫について、妻の真意を確認することなくその届出をし、よって妻としての地位を不安定な状態にしたとして、その過失、ひいては不法行為の成立を認め、賠償責任を認めました。
・夫婦間で口論がなされ、その勢いの赴くまま、妻が離婚届用紙に署名押印した
・当事者間では事後の具体的な生活についての話し合いもなされていなかった
・離婚届用紙に署名した翌日、妻が、夫に、早く帰ってくるようにという、離婚の意思とはおよそ矛盾する言葉を発していた
この事例は、離婚届の作成後3日後に離婚届がなされたという事案についての判決です。
離婚届の作成後、離婚届もなされないまま長年月が経過したような場合、長年月が経過したとまでは言えないにしても同居を継続したり夫婦間の交流がそれなりに継続していたような場合には、離婚意思がなくなったことが推認され、勝手に離婚届をしたことについて不法行為責任を問われる、あるいは離婚確認訴訟等の法的トラブルに発展する可能性があると言わなくてはなりません。
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