採石作業中の労災事故

交通事故

1 採石工場での採石作業中の労災事故

報道によると、19日午前11時50分ころ、愛知県春日井市の小西生コン春日井採石工場で、落石が発生し、男性作業員が亡くなられたということです。

亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

2 採石作業における安全配慮義務

採石作業は落石などの危険を伴うものであり、安全への配慮が必要とされます。

そこで、労働安全衛生規則は、以下のとおり、落石などの発生を防止するための措置を講じなければなりません。

(点検)
第四百一条 事業者は、採石作業を行なうときは、地山の崩壊又は土石の落下による労働者の危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一 点検者を指名して、作業箇所及びその周辺の地山について、その日の作業を開始する前、大雨の後及び中震以上の地震の後、浮石及びき裂の有無及び状態並びに含水、湧ゆう水及び凍結の状態の変化を点検させること。
二 点検者を指名して、発破を行なつた後、当該発破を行なつた箇所及びその周辺の浮石及びき裂の有無及び状態を点検させること。
(掘削面のこう配の基準)
第四百七条 事業者は、岩石の採取のための掘削の作業(坑内におけるものを除く。以下この条において同じ。)を行なうときは、掘削面のこう配を、次の表の上欄に掲げる地山の種類及び同表の中欄に掲げる掘削面の高さに応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下としなければならない。ただし、パワー・シヨベル、トラクター・シヨベル等の掘削機械を用いて掘削の作業を行なう場合において、地山の崩壊又は土石の落下により当該機械の運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
(崩壊等による危険の防止)
第四百八条 事業者は、採石作業(坑内で行なうものを除く。)を行なう場合において、崩壊又は落下により労働者に危険を及ぼすおそれのある土石、立木等があるときは、あらかじめ、これらを取り除き、防護網を張る等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。

このように、使用者としては、作業開始前に土石の落下などが生じうる状態でないかどうかのチェックすること、掘削面の勾配を基準値以下とすること、落下などの危険などのがある石などがあるときにはあらかじめ取り除くことなどの義務を負っています。

これらの義務は、使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容に含まれると考えられ、これに違反した場合には使用者は損害賠償責任を負うことになります。

今回の事件で義務違反があったかどうかは不明ですが、今後労基署により調査がされるものと思われます。

 

 

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