SNS上でのなりすましと法的責任


 ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSについては、厳密に本人確認をするものではないため、なりすましが頻繁に行われています。
 私が代理人として関わった事例では肖像権侵害として賠償が認められましたが、それ以外の法的構成を模索する動きもあります。
 大阪地裁平成29年8月30日判決は、SNS上のなりすましについて名誉権、プライバシー権、肖像権、アイデンティティ権が侵害されたかどうかについて判断しています。
 結論的には名誉権、肖像権侵害を認め、その他の権利の侵害を否定しています。
 アイデンティティ権については、人格的同一性に関する利益も法的保護に値するとしています。そして、なりすましの意図・動機、なりすましの方法・態様、なりすましによる不利益の有無・程度などを考慮し、利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるかどうかにより不法行為が成立するかどうか判断すべきとしました。そして事案についてあてはめを行い、アイデンティティ権の違法な侵害を認めませんでした。
 肖像権は写真などが使われる場合なので、それとは別個アイデンティティ権を問題とする実益は大きいと思われます。しかし、いまだ成熟した権利ではなく、裁判所としてはかなり及び腰になっているといえます。これから開拓が必要な領域といえるでしょう。

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