
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
目次
1 離婚とお金
1 離婚とお金
離婚をする場合、さまざまなお金の問題が発生します。
以下、簡単に概観します。
2 離婚と慰謝料
離婚の原因がどちらかの違法行為(不貞やDV)であるような場合、慰謝料が発生します。
違法行為を共同にした者がいる場合、その者に対しても慰謝料を請求できます。
慰謝料請求権は離婚から3年で時効になります。
例えば、配偶者が第三者と不倫をしていた場合、その第三者に対しても慰謝料請求できます。
この場合、どちらかが慰謝料を払うと、もう1人の慰謝料支払い分はその分だけ減ることになります。
DVや不貞等があっても、その加害者が常に離婚の結果について賠償責任を負うとは限りません。
例えば、DVや不貞等があっても、その後長期間、円満に夫婦生活が継続していたような事情があると、その後に離婚をしたとしても、DVや不貞等が離婚の原因とはされない可能性はあります。
その場合でも、DVや不貞等から3年以内であれば、DVや不貞等そのものについて慰謝料請求をなしうる可能性はあります。
しかし、3年を超えると、時効として慰謝料請求できなくなる可能性があります。
3 離婚と財産分与
結婚してからためた財産があるような場合、その財産をわける財産分与の問題が生じます。
分与は別居時の夫婦共有財産を対象とするのが原則です。
分与は基本的には2分の1ずつ分けることになります。
結婚する前からあった財産は特有財産といって分与の対象にはなりません。
特有財産か共有財産かわからないときは、共有財産とみなされます。
借金については通常は分与の対象にはならないとされます。
ただし、夫婦共同生活のための借金とプラスの財産を差し引きして分与額を決めることはあります。
例えば、夫が、住宅ローンの債務を負っており、オーバーローンが1000万円であるとき、妻が500万円の預貯金を持っていたとすると、夫が不動産を取得し、さらに妻から500万円の財産分与を受けるということもありえます。
夫は-1000万円で妻から500万円をもらっても-500万円です。
他方、妻は500万円分与して0円です。
このように、債務を負担する側としない側の利益・損失ができるだけ近くなるように分与額を計算することがありえます。
4 離婚時年金分割
結婚期間に厚生年金などに加入していた場合、年金分割も問題になります。
この年金分割は、夫婦が結婚期間中に払っていた保険料を合算し、通常は同じ金額だけ保険料を払っていたという扱いとするものです。
裁判や調停で決めることもできますし、双方が年金事務所に行って手続きをすることもできます。
通常は、結婚期間中に払っていた保険料を折半する(0・5で分割する)ことになります。
それ以外の割合で分割することは極めてまれです。参照:0・4での分割をすべきとの主張を認めなかった裁判例
5 養育費
お子様がいる場合、お子様を養育するための養育費も決めなければなりません。
通常は20歳までで約束をすることが多いですが、大学進学をする場合は22歳まで支払いを約束することもあります。
養育費の金額は裁判所のサイトにある養育費算定表により計算するのが一般的です。
参照:養育費算定表
その他、特別の学費などの出費があれば、増額されることがあります。
養育費を取り決めたものの、収入の大きな変化などの事情変更があった場合、増減をすることができる場合もあります。
養育費について協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立て、解決することになります。
調停で合意が成立しない場合、審判で裁判所が養育費を決めます。
6 婚姻費用
別居後離婚までの間には、一方が他方の生活費の面倒を見る婚姻費用が発生する場合もあります。
裁判所では調停申立時などの婚姻費用請求時から離婚時までの婚姻費用を認めることが多いです(内容証明郵便を出して請求した以降に発生するとしたものもあります)。
ですから婚姻費用を請求する側にとっては一刻も早い請求が必要です。
この金額も、裁判所のサイトにある婚姻費用算定表で算定するのが一般的です。
不倫などをして、別居に責任のある配偶者からの婚姻費用請求は認められない可能性もあります。
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