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執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
目次
1 離婚とお金
1 離婚とお金
離婚をする場合、さまざまなお金の問題が発生します。
以下、簡単に概観します。
2 離婚と慰謝料
離婚の原因がどちらかの違法行為(不貞やDV)であるような場合、慰謝料が発生します。
違法行為を共同にした者がいる場合、その者に対しても慰謝料を請求できます。
例えば、配偶者が第三者と不倫をしていた場合、その第三者に対しても慰謝料請求できます。
この場合、どちらかが慰謝料を払うと、もう1人の慰謝料支払い分はその分だけ減ることになります。
3 離婚と財産分与
結婚してからためた財産があるような場合、その財産をわける財産分与の問題が生じます。
分与は別居時の夫婦共有財産を対象とするのが原則です。
分与は基本的には2分の1ずつ分けることになります。
結婚する前からあった財産は特有財産といって分与の対象にはなりません。
特有財産か共有財産かわからないときは、共有財産とみなされます。
借金については通常は分与の対象にはならないとされます。
ただし、借金とプラスの財産を差し引きして分与額を決めることはあります。
4 離婚時年金分割
結婚期間に厚生年金などに加入していた場合、年金分割も問題になります。
この年金分割は、夫婦が結婚期間中に払っていた保険料を合算し、通常は同じ金額だけ保険料を払っていたという扱いとするものです。
裁判や調停で決めることもできますし、双方が年金事務所に行って手続きをすることもできます。
5 養育費
お子様がいる場合、お子様を養育するための養育費も決めなければなりません。
通常は20歳までで約束をすることが多いですが、大学進学をする場合は22歳まで支払いを約束することもあります。
養育費の金額は裁判所のサイトにある養育費算定表により計算するのが一般的です。
参照:養育費算定表
その他、特別の学費などの出費があれば、増額されることがあります。
養育費を取り決めたものの、収入の大きな変化などの事情変更があった場合、増減をすることができる場合もあります。
6 婚姻費用
別居後離婚までの間には、一方が他方の生活費の面倒を見る婚姻費用が発生する場合もあります。
裁判所では調停申立時などの婚姻費用請求時から離婚時までの婚姻費用を認めることが多いです。
ですから婚姻費用を請求する側にとっては一刻も早い請求が必要です。
この金額も、裁判所のサイトにある婚姻費用算定表で算定するのが一般的です。
不倫などをして、別居に責任のある配偶者からの婚姻費用請求は認められない可能性もあります。
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