労災と自賠責の関係(交通事故)

交通事故

通勤中や業務中の交通事故については労災保険が適用される可能性があります。

その場合、自賠責にも請求できるし、労災保険にも請求できることになります。

例えば、まず労災保険から支給を受け、それでも損害が填補されない部分を自賠責に請求するということも考えられます。

そのような場合、労災保険給付を行った範囲内で賠償金債権が国に移転します。

そうすると、被害者と国が自賠責に対して請求権を持つことになりますが、自賠責の支払いには限度があり、双方に満額支払うことができないということも起りえます。

そのような場合に、被害者と国の請求権をどう調整するか問題となります。

相手方が対人無制限の任意保険に入っており、被害者の過失割合が小さいときには、被害者は任意保険から賠償金の多くを受け取ることができるのであまり問題は顕在化しないと思われます。

しかし、相手方が対人無制限の任意保険に入っていないとき、被害者の過失割合が大きいときには、任意保険により損害額の多くについて填補を受けることが期待できないことがあり、そのようなときには自賠責に請求せざるを得ません。

よって、上記した被害者と国の請求権の調整の問題は重要な問題となります。

この点、最高裁平成30年9月27日判決は、以下のとおり述べて、この問題に解決を示しました。

「被害者が労災保険給付を受けてもなお填補されない損害について直接請求権を行使する場合は、他方で労災保険方12条の4、1項により国に移転した直接請求権が行使され、被害者の直接請求権の額と国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超えるときであっても、被害者は、国に優先して自賠責保険の保険会社から自賠責保険金額の限度で自賠法16条1項に基づき損害賠償額の支払を受けることができるものと解するのが相当である」

つまり、被害者は、国に優先して、自賠責から全額の支払いを受けることができることになります。

労災保険の場合、休業補償の特別支給がなされ通常の損害賠償より有利な側面もあることなどのメリットがあります。

今回の判決により、労災保険から支給を受けた後に自賠責に請求した場合、国に優先して受給できることも明確化しましたので、労災保険が適用されるような交通事故については、労災保険申請をすることを原則とすべきことがはっきりしたと考えます。

 

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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