脊柱管狭窄症と素因減額(交通事故)

交通事故

1 交通事故と素因減額

交通事故で被害者が傷害を負った場合であっても、もともとの素因が傷害の発生や拡大に寄与しているような場合、素因減額として損害賠償額が減額されることがあります。

その中でもよく見かけるのが脊柱管狭窄症が元々あった場合です。

 

2 脊柱管狭窄症と素因減額

例えば、福岡地裁令和2年3月17日判決は、以下のとおり述べ、もともと脊柱管狭窄症があった場合について、後遺障害慰謝料及び逸失利益について素因減額を認めました。

「本件事故は,原告の頚部や腰部に負荷が掛かるような態様による追突事故であると認められるが,他方において,カートの最高時速は13キロメートル程度であり,その前後には衝撃緩和装置が取り付けられていたことなどからすると,追突による衝撃は,比較的軽微なものであったといわざるを得ず,原告に生じた症状は,過大な面があるといわざるを得ない。また,原告は,前回事故によって約1か月にわたる入院を要する傷害を負い,その際の後遺障害として,頸部痛,左肩から指先の疼痛しびれ,左上肢痛,腰部痛,右下肢痛,右足底部痛,頭痛,両肩痛(僧帽筋痛)等が残存し,MRI検査においても頸椎の椎間板ヘルニア,腰椎の椎間板膨隆や後方突出,脊柱管狭窄などの器質的変化が認められていたことからすると,本件事故後に残存した後遺障害の内容は,前回事故後に残存した後遺障害の内容と相当程度重なっている部分が存する。」
「以上のような諸事情を考慮するならば,前回事故による後遺障害の症状が軽快していたとしても,本件事故について前回事故による受傷の影響を考慮するのが相当というべきであるから,本件事故前から存する原告の身体的素因が一定程度後遺障害の発生に寄与していると認め,原告の後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料について,損害の公平の分担の見地から,20パーセントを減額するのが相当である。」

また、大阪地裁平成31年1月30日判決は、「証拠(甲3の9)からうかがわれる原告X1の転倒時の様子からは,原告X1の転倒時にその頸部に生じた衝撃は相当程度強いものであったと考えられ,原告X1の脊柱管狭窄が損害の発生及び拡大に寄与した度合いは,それほど大きいものであったとは認められない。以上を踏まえると,損害の公平な分担という見地から10パーセントの割合による素因減額をするのが相当である。」として、事故でそれ相応の衝撃があったとして素因減額割合を10パーセントとしています。

このように、

・事故態様との関係で現実に生じた傷害が不釣り合いに重いものかどうか

・事故前にあった障害と事故で生じた障害は重なるものか

・事故前の障害は事故時において軽快していたかどうか

等の要素を考慮し、素因減額をするかどうか、するとしてどの程度減額するかが決定されることになります。

なお、福岡地裁判決では、「被告は,治療費,通院交通費及び通院慰謝料についても素因減額がなされるべきであると主張するが,症状固定時期について前記のとおり本件事故と相当因果関係がある範囲内に限定して認めていることからすると,その期間が素因減額をしなければ公平を失するというほど長期間に過ぎるとはいえないのであるから,被告の主張は採用できない。」として、通院関連損害について素因減額を認めていません。通院関連損害が事故の態様との関係でかなり高額となるような場合においては通院関連損害についても素因減額がなされることはありますが、素因減額は常にすべての損害項目について一律になされるものではありません。

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