時価額を上回る修理代の請求の可否(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 時価額を上回る修理代の請求の可否

交通事故で自動車の修理を要する場合(このような状態を「経済的全損」といいます)、その修理代が賠償額となるのが原則です。
しかし、自動車の時価額+再取得費用を上回る修理代が必要となる場合、時価額+再取得費用分しか修理代は出ません。
実際に修理が必要なのに、その費用が出ないということで不満を持つ被害者の方は多いです。
しかし、もし時価額+再取得費用を超える修理代の賠償が認められると、被害者はもともと自動車についてはその時価相当分の資産しか持っていなかったのに、事故によりそれを上回るお金を得ることになります。
それは損害がなかった状態に復するという損害賠償制度の趣旨に反するため、時価額+再取得費用分しか修理代が認められないのです。

2 例外的に時価額を上回る修理代を請求できる場合

なお、裁判例では、例外的に時価額を上回る修理代を請求できる場合があるとされています。

この点、東京高裁平成4年7月20日判決は、「不法行為を理由とする損害賠償請求において被害者が請求することができるのは、被害物件を修理する以外に同種の物を入手することができないような特別の事情がない限り、被害物件の価額を限度と解すべきものであつて、控訴人が愛着を持つていた車であるからといつて、その価額を上回る修理費用を損害と認めることはできない。」としています。

このように同種の自動車を入手できないような特殊な状況がない限り、時価額+再取得費用を上回る修理代を請求することはできないことになりますし、同種の自動車を入手できないような状況はあまりないと考えられます。

3 再取得費用

車検手数料、車庫証明費用・同販売店手数料、登録費用・同販売店手数料、登録番号変更費用、プレート代、納車費用、自動車取得税等が再取得費用として認められます。
自動車税、自賠責保険金は否定されてきました。
自動車重量税は認める場合、認めない場合があります。
観光バスなど特殊な装備が必要なものについては、その装備の費用も賠償の対象となります(札幌地裁平成8年11月27日判決等)。

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