自宅療養期間、ギプス装着と入通院慰謝料(交通事故)

交通事故

1 新型コロナ等による自宅療養等と入通院慰謝料

交通事故で傷害を負った場合、入通院期間、あるいは回数によって慰謝料額が決まってきます。

ところが、従来から、仕事の都合等により、本来入院あるいは通院すべき期間より短い期間しか入通院できない、あるいは少ない回数しか通院できないという事例がありました。

新型コロナによる医療ひっ迫や感染予防の観点から、入通院を控えざるを得なかったという方もいるでしょう。

そのような場合、入通院慰謝料算定にあたり考慮はされるのでしょうか?

以下、見ていきます。

 

2 自宅療養と入通院慰謝料

自宅療養、ギプス固定と入通院慰謝料のあり方については以下の裁判例があります。

  東京地裁平成25年6月25日判決

被害者が自宅においてギプスを装着して療養していた期間について、「原告は,入院期間として3か月の安静を要する期間を加算すべきであると主張するが,それを入院期間とみなすことはできない(もっとも,そのような事情も含めて,上記200万円の慰謝料が相当である。)」としています。

この訴訟で、加害者側は、被害者は、自宅療養中、ギプスは装着していたものの、歩けなかったわけではなく、その期間について入院慰謝料は認められないと主張していました。

  東京地裁平成18年8月29日判決

被害者に、歯の折損及び脱落の被害があった事例で、

ⅰ 通院回数は少なかったものの、それは,さし歯を入れるため歯茎等が安定をするのを待っていた期間であり,ギブスによる固定期間に類似したものと理解することも可能というべきである。よって、安定を待っていた期間も通院が継続したものとみなすべきである。

ⅱ しかし、入院を待つための自宅待機をしていた訳ではなく,大学に通学するなど外出は可能だったのであるから,直ちに入院期間と同視することは相当ではない。
と判断しました。

  東京地裁平成17年3月2日判決

被害者について

ⅰ 同年6月6日まではギプス等により左足が固定されており,行動が制約されていたこと,

ⅱ 当時通っていた幼稚園のほか,水泳教室等の欠席を余儀なくされたこと,

ⅲ 一方で,4月27日以降学習教室の一部科目について出席していること,

ⅳ 診療録上入院と同様の安静を要する旨の記載はないこと

を踏まえ、自宅療養期間について入院期間とは扱いませんでした。

  まとめ

以上の裁判例をみると、

ⅰ ギプスなどを装着し、自宅でも自由が拘束されている期間については、通院期間と認められることが多い

ⅱ 入院期間とみることができる場合は多くはないが、自宅でもかなり高度に自由が制限されていた場合、入院待ちの場合、医師が入院相当と述べていた場合等には入院期間とみる余地がある

ということになるでしょう。

医師は入院が望ましいとしていたが、新型コロナのために入院できず、自宅でもかなり自由が制限されていたような場合には入院した場合に準じた慰謝料算定はありうるでしょう。

また、新型コロナのために通院できなかったものの、ギプスなどで自由が相当程度限定されていた場合には通院期間に準じた慰謝料算定がありうるでしょう。

3 新潟の交通事故は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

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