障害者の交通事故と逸失利益

交通事故

1 交通事故と逸失利益

交通事故により後遺障害が残り、労働能力が喪失又は損なわれた場合、その程度に応じて逸失利益の賠償がなされることがあります。

この逸失利益については、現実に就労していればその収入が基準となるのが原則です。

30歳以下の若者等については、賃金センサスという平均賃金が基準となることが多いです。

この点、身体障害あるいは知的障害があった被害者については、そもそも賃金センサスどおりの賃金を得られる可能性がなかったのではないか、問題とされることがあります。

そこで以下、事故前から障害があった被害者の逸失利益の計算について解説します。

 

2 障害者の逸失利益についての裁判例

近時の裁判例としては、山口地裁下関支部令和2年9月15日判決が、全盲の被害者について逸失利益の判断をしています。

裁判所は、「現時点において、健常者と身体障害者との間の基礎収入については、差異があると言わざるを得ない」としつつ、

ⅰ 我が国における近年の障害者の雇用状況や書く行政機関等の対応、障害者に関する関係法令の整備状況、企業における支援の実例等の事情を踏まえると、身体障害を有する年少者であっても、今後は、今まで以上に、潜在的な稼働能力を発揮して健常者と同様の賃金条件で就労することのできる社会の実現がはかられていくこと

ⅱ 被害者が盲学校高等部普通科に入学していたこと、高等部普通科の生徒が大学等に進学したり就職した例があること

などの事情を踏まえ、平成28年賃金センサスの男女計・学歴計・全年齢の平均賃金の7割である342万9020円を基準とした逸失利益の算定を認めました。

近年は知的障害者、身体障害者問わず、賃金センサスの一定割合等により逸失利益を算定する裁判例が主流になりつつあります。

今後、障害者をめぐる法制や雇用状況の改善に従い、賃金センサスそのものを基準とした逸失利益算定をする事例も出てくると思われます。

なお、東京地裁昭和54年3月27日判決は、視覚障害者が、自営であん摩などを営業する予定があったケースについて、賃金センサスを基準とした逸失利益算定をしています。このように、具体的な就労見込みによっては、現時点でも賃金センサスから減額しない逸失利益算定もありうるところです。

4 新潟で交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

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