一部遺産分割をした後での残遺産の分割方法はどうなるのか?

相続問題

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 一部遺産分割と残遺産の分割方法

遺産分割については、当初の分割協議時点ではすべての遺産が明らかではなかったなどの理由から、まず遺産の一部のみ分割し、後日残りの遺産について分割をすることがありえます。

例えば、それぞれ2分の1の相続分の相続人Aさん、Bさんがいたとします。
最初の遺産分割で、Aさんは、遺産の7割、Bさんは遺産の3割を取得しました。
その場合、2回目の分割では、

ⅰ 1回目の分割は無視して、2回目の分割だけでみて相続分に応じた分割を行う

ⅱ 1回目と2回目の分割をあわせてAさんとBさんが2分の1ずつ遺産を取得できるように分割を行う

との2つの考えが存在します。

どちらで考えるべきでしょうか?

2 2回目の分割についての大阪高裁令和1年7月17日決定

2回目の分割についての大阪高裁令和1年7月17日決定は、以下のとおり述べて、1回目の分割は無視して、2回目の分割だけ考慮して法定相続分を満たすようにすべきとしています。

先行協議の対象となった被相続人の遺産には,不動産のほか,現金や預貯金もあったところ,相手方は,現金や預貯金は取得せず,本件各土地と農耕具などを取得し,抗告人は現金200万円のみを取得しているのに対して,亡Dは不動産のほかに183万円余りの預貯金と現金100万円も取得することとして,相互に代償金の支払を定めることもなく遺産分割協議が成立していることが認められることからすると,先行協議の当事者は,各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても,そのことを是認していたものというべきである。そうすると,先行協議の際に判明していた遺産の範囲においては,遺産分割として完結しており,その後の清算は予定されていなかったというべきであるから

つまり、1回目の遺産分割において法定相続分と異なる遺産分割をしていた場合でも、2回目以降の遺産分割も合わせて法定相続分どおりに分割する当事者らの意思があったのであればともかく、そうではない限り、1回目で法定相続分と異なる遺産分割をしていたことは2回目以降の遺産分割では考慮されないということです。

1回目の遺産分割時において、他に遺産があることが判然としていなかったような場合、2回目以降の遺産分割も合わせて法定相続分どおりに分割する当事者らの意思は見出しえないでしょうから、そのような場合には2回目の遺産分割だけで法定相続分に従っているかどうかを判断すべきということになります。

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