拘束条件付取引(独占禁止法)

1 独占禁止法と拘束条件付取引

独占禁止法第十九条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」としています。

何が「不公正な取引」にあたるかについて、不公正な取引方法(一般指定)(昭57・6・18公正取引委員会告示15号)等で定められています。

この一般指定13では、「相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引すること。」を「不公正な取引」としてあげています。

この拘束条件付取引には、

ⅰ 相手方の事業活動を拘束することで

ⅱ 公正競争が阻害される

場合に該当します(菅久修一等「独占禁止法 第4版」158頁)。

2 拘束条件付取引の具体例

最高裁平成6年(オ)第2415号同10年12月18日第三小法廷判決・民集52巻9号1866頁は、「一般指定12項にいう拘束条件付取引の内容は様々であり得るから、その形態や拘束の程度等に応じて公正な競争を阻害するおそれを判断し、それが公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合に、初めて相手方の事業活動を「不当に」拘束する条件を付けた取引に当たるものというべきである」としています。

具体的判断としては、東京地裁平成31年3月28日判決が、「市場における有力な事業者が、取引先事業者に対し、自己の競争者と取引しないよう拘束する条件を付けて取引する行為や、取引先事業者に対し、自己の商品と競争関係にある商品の取扱いを制限するよう拘束する条件を付けて取引する行為を行うことにより、市場閉鎖効果、すなわち新規参入者や既存の競争者にとって、代替的な取引先を容易に確保することができなくなり、事業活動に要する費用が引き上げられる、新規参入や新商品開発等の意欲が損なわれるといった、新規参入者や既存の競争者が排除される又はこれらの取引機会が減少するような状態をもたらすおそれが生じる場合には、公正な競争を阻害するおそれがあるというべきである。市場閉鎖効果が生じるか否かの判断に当たっては、具体的行為や取引の対象、地域、態様等に応じて、当該行為に係る取引及びそれにより影響をうける範囲を検討した上で、ブランド間及びブランド内の競争の状況、垂直的制限行為を行う事業者の市場における地位、当該行為の対象となる取引先事業者の事業活動に及ぼす影響、当該取引先事業者の数及び市場における地位を総合的に考慮して判断すべきである。」との具体的判断基準を示しています。

同判決は、このような具体的基準を踏まえ、「高知県内のなすの9割近くという圧倒的多数を生産するX農協管内のなす農家のうち相当数の者に対し、上記のとおりの性質を有する本件行為による拘束が及んでいたことに加え、商系業者において、本件行為の拘束が及ばないなす農家から、これに代わる十分な量のなすを集荷することは困難と推認することができる。そうすると、X農協の本件行為によって、集荷するなすのほとんどをX農協管内から集荷している商系業者にとっては、取引機会が減少するような状態がもたらされるおそれが生じた、すなわち市場閉鎖効果が生じたといわざるを得ない」として、農業協同組合が、自ら以外の者になすを出荷することを制限する条件を付けて、その組合員からなすの販売を受託したことが12項に違反するものとしました。

このように、拘束条件付取引の該当性判断ついては、拘束条件を求める者のシェアが重要な要素となります。

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