執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 祭祀に関わる遺産と相続
民法第八百九十七条は、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」、「2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」と定めています。
ですから、民法は、祭祀に関わる遺産(系譜、祭具、墳墓等)については、
ⅰ 被相続人の指定で祖先の祭祀を主宰すべき者
ⅱ 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者
ⅲ 家庭裁判所が定める者
の順番で決められることになります。
民法上明記はされていませんが、相続人の合意で祭祀承継者を決めることもあります(東京高裁平成31年3月19日決定)。
財産ごとに承継人が異なる場合もありえます。また、遺骨については、特別の事情がある場合、裁判所が遺骨の分骨を命じることもできるとする裁判例もあります(平成30年1月30日決定)。
2 祭祀に関わる遺産の範囲
民法897条で規定される祭祀に関わる遺産としては、明示されているもの以外に、遺骨や位牌が該当するかどうか問題となります。
墳墓については、墓地の上に建てられることになります。その墓地については、広島高裁平成12年8月25日判決が、墳墓と一体となるものとして墳墓に含まれるとしています。
遺骨については、最高裁平成1年7月18日判決が、遺骨の所有権は慣習に従って祭祀を承継すべき者に属するとの原審判断を支持しており、民法897条が適用されると考えているかのようです。参照:遺骨の帰属についての判例
位牌については、東京高裁平成31年3月19日決定が、「被相続人の位牌は,被相続人以外の主体が製作したものが取得されたものであって,その性質において遺体や遺骨とは異なるものであることは明らかというべきである」として民法897条の適用を否定しているところです。
3 祭祀に関わる遺産の承継の拒否
なお、祭祀に関わる遺産の承継は拒否できないと考えられています。
他方、祭祀に関わる遺産を承継しても祭祀を義務付けられるものではありませんし、祭祀に関わる遺産を処分することもできると考えられます。
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