村上市の三幸製菓火災 刑事責任はどうなる?

さいとうゆたか弁護士

1 村上市の三幸製菓火災と刑事責任

村上市の三幸製菓工場で発生した火事で亡くなられた方についてはご冥福をお祈り申し上げます。

この件について、亡くなられた方について労災保険や損害賠償の手続きがなされるべきことは当然です。

詳しくは火災と労災の記事を御参照ください。

さらに、この件については既に捜索手続きがなされており、刑事処分も視野に入ってきています。

以下、刑事処分の見通し等について報道された情報を前提にご説明します。

 

2 報道されている事実関係

報道では、三幸製菓工場では、

ⅰ 通路に物が置かれていた

ⅱ 夜間勤務する従業員が避難訓練に参加していたかどうか定かではない

などの問題があったとされています。

もちろん、現時点ではこれらの問題が実際にあったかどうか断言できませんし、仮にこれらの問題があったとして被害の拡大に寄与したかどうかはわかりません。

以下、仮にⅰ、ⅱの問題点があり、それが従業員の死亡という結果に結びついたと言える場合に三幸製菓の関係者が刑事責任を負う可能性について検討します。

 

3 通路に物が置かれていたこと

仮に、三幸製菓工場において、避難経路に物が置かれ、そのため避難が困難になったとすると、それを理由に業務上過失致死罪が成立する可能性があります。

この点、雑居ビル火災に関する東京地裁平成20年7月2日判決は、「店舗出入口に設置された防火戸の前にその閉鎖の障害となる看板,アコーディオンカーテン等の物品が置かれるなどしていたのに,これらを除去しないまま放置した過失」があると認定し、業務上過失致死傷罪の成立を認めています。

4 従業員全員に避難訓練を実施していなかったこと

仮に、三幸製菓工場において、従業員全員に避難訓練を実施していなかったとすると、その点についても業務上過失致死罪が成立する可能性があります。

この点、入居型介護施設での火災について業務上過失致死罪が成立するかどうかが問題となった事件についての前橋地裁平成25年1月18日判決は、「甲本館は4棟に分かれていて,建物の配置や出入口の位置は整然としておらず,建物内外の通路も入り組んでいた。このため,火災の状況に応じて,できるだけ安全で効率的な避難経路や避難誘導する入居者の順番を選択するには,事前の検討や指導が必要であった。」等として、避難訓練等を実施して避難経路などを周知させる必要があったのにしなかったことを業務上過失致死罪成立の1根拠としています。

三幸製菓の火災では、防火シャッターが閉まり、従業員が避難困難な状況にあったとも思われます。

そのような状況は想定されていたでしょうから、全従業員に対し避難訓練(防火シャッターが閉じた場合に避難用扉から避難するなどの対応も含む)がなされるべきでしたし、仮に夜間の従業員に対する避難訓練が実施されていなかったとすると、この点からも業務上過失致死罪が成立する可能性があると考えます。

このことからすると、防火シャッターが閉まることを前提とした防火訓練が実施されていなかったこと、訓練不実施が死亡という最悪の結果に結びついたことも推認されるといえると考えます(夜勤者に避難訓練が実施されていなかったこと、防火シャッターが閉まることについて周知がなさていなかったことは、2022年6月31日の三幸製菓CEO記者会見でも認めています)。

5 その他の過失

火災事故調査委員会の一次報告書によると、

・停電による照明の消失

・消防用の水不足

も救助を遅らせた原因になっているとのことです。

それまでもボヤ程度の火災は頻発していたのですから、三幸製菓は火災対策をしっかり行うべきでした。

そうであれば、火災によっても消失しない照明の設置、消防用水の確認をすべきだったと考えられ、これらをしなかったことも過失となる可能性はあるでしょう。

6 最期に

以上のとおり、事実関係次第では業務上過失致死罪の成立もありうるところと思われます。

ご冥福をお祈りするとともに、刑事上、民事上、適切な対応がなされることを期待します。

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