交通事故と尿失禁

交通事故

1 交通事故と尿失禁

尿失禁は交通事故の後遺障害としては珍しいものですが、事故態様によっては発生する可能性のあるものです。

札幌高裁令和3年2月2日判決は、交通事故の後遺障害として切迫性尿失禁・腹圧性尿失禁が発生したと認定しています。

1審の札幌地裁平成31年3月26日判決は、尿漏れを交通事故と因果関係あるものとしては認めていません。

そのため、かなりぎりぎりの事例について因果関係を認めたものと思われ、参考になると考えられるので、ご紹介します。

2 交通事故と尿失禁の因果関係

被害者は平成22年12月6日、自転車に乗っていて、自動車に衝突されました。

その結果、被害者は尻もちをつく形で転倒し、尾骨骨折の傷害を負いました。

平成23年1月7日から尿が近くなるなどの症状があり、令和1年8月から10月には、1日約3枚の尿漏れパッドを使用していました。

その他、被害者は女性であるものの事故当時36歳であり加齢が原因で尿失禁になったとは考えられないこと、出産歴もないことから出産に伴う陰部神経損傷も考えられないこと、医師において切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁のための薬剤を処方することで症状が改善しているため心因性ではないことなどの事情を踏まえ、被害者の尿失禁は、「本件事故による外傷によって下部尿路を支配する神経損傷や骨盤内の膀胱尿道支持組織の損傷等による異常がもたらされ、器質的な病変は特定できないものの、これらに起因して生じた高度の蓋然性があると認めるのが相当であり、本件事故との相当因果関係を肯定することができる」として、交通事故と尿失禁との因果関係を認めました。

このように、尿失禁が交通事故と因果関係のあるものとされるためには、

ⅰ 交通事故において被害者が衝突を受けた部位、程度

ⅱ 症状が現れた時期

ⅲ 出産や年齢などの他原因がないこと

ⅳ 切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁等の薬物に反応したこと

などの要素を検討する必要があります。

3 尿失禁と後遺障害等級

判決は、上記尿失禁について、「常時パッド等の装着は要しないが、下着が少し濡れるもの」で、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」として11級の後遺障害になるとしました。

4 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

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