執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会所属、2023年度日弁連副会長)
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1 信号機のない交差点(一方に一時停止規制)における直進自動車・バイクと直進自転車の交通事故の過失割合
別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」は、信号機のない交差点(一方に一時停止規制)における直進自動車・バイクと直進自転車の交通事故の過失割合について、
自動車・バイク側に一時停止規制がある場合 自動車・バイク対自転車=90:10(図243)
自転車側に一時停止規制がある場合 自動車・バイク対自転車=60:40(図244)
との基本的過失割合になるとしています。
2 信号機のない交差点(一方に一時停止規制)における直進自動車・バイクと直進自転車の交通事故の裁判例の状況
名古屋地裁令和1年12月20日判決は、自動車側に一時停止規制がある場合について、
・自動車は,本件交差点に進入する前に停止しており、本件交差点に進入する際の速度は低速であったと思われること,
・自転車からの見通しは概ね良好であること,
・接触の態様が自動車の左側面前部に自転車が正面から追突したものであることからすると,自転車にも前方注視義務違反の過失があったというべきであること
から、自転車の過失割合10%,自動車の過失割合90%と認めました。
この事案では一時停止線付近で自動車は停止しています。
判例タイムズ図243では、自動車が一時停止した場合には10%修正とされています。
よって、本来、20:80の過失割合もありえたはずです。
この事案では、自動車は右方の確認のみをし、左方の確認をしなかったとされています。
そのような確認の著しい不十分さにより、一時停止したことが帳消しになったとも考えられます。
また、この事案では、自転車が許可されていないのに歩道上を走行していたことが自転車側の過失となるかが争われました。
裁判所は、「(現場が)片側3車線の幹線道路であることからすると,本件歩道上を通行する自転車があることは容易に予想できるところであるから,原告車が自転車通行の許可されていない歩道を走行していたことを考慮しても,上記の過失割合とするのが相当である。」として、自転車の歩道走行を重視しませんでした。
この種の事故態様で、自転車が歩道走行したことは過失割合に反映されにくいと言えるでしょう。
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