執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 信号機のない交差点(優先道路と非優先道路交差)での直進自動車と直進バイクの交通事故の過失割合
信号機のない交差点(優先道路と非優先道路交差)での直進自動車と直進バイクの交通事故の過失割合について、別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失算定率の認定基準全訂5版」は、
(バイク側優先)バイク:自動車=10:90(基本的過失割合)、バイクの著しい過失で10%、重過失で20%、自動車の明らかな先入で10%バイクの過失を加重、自動車の著しい過失で5%、重過失で10%バイクの過失を軽減(171図)
(自動車側優先)自動車:バイク=70:30(基本的過失割合)、バイクの著しい過失で10%、重過失で10%バイクの過失を加重、バイクの明らかな先入で20%、自動車の著しい過失で10%、重過失で20%バイクの過失を軽減(172図)
としています。
2 信号機のない交差点(優先道路と非優先道路交差)での直進自動車と直進バイクの交通事故の判決
本件事故が渋滞中の車列の間を抜けてきた被告車両と道路を直進していた原告車両との間で発生したこと東京高裁平成31年2月27日判決は、バイク側が優先道路だった事例について、
・バイクにとって自車走行車線の反対車線が渋滞していたのであるから,渋滞車両の間隙から車両が進行してくる可能性に注意し,速度を調整したり,警笛を鳴らして同車両に注意を喚起するなどする必要があったにもかかわらず,自動車がバイク走行車線に進入しようとしていることを察知したものの,その時点では,念のためブレーキレバーに手を掛けただけで,直ちに減速したり,警笛を鳴らすことなく時速40kmのまま進行し,急制動を掛けるまで間があった
・バイクが急制動を掛けた後転倒した地点では,自動車は,既に本件交差点中央線を越えて,車体の半分程度が1審原告車両走行車線内に進入していたことに照らすと,1審原告の対応に遅れがあったことも否定できない。
として、バイクと自動車の過失を20:80としました。
バイクに著しい過失10%を認め、過失割合10%を修正したと考えられます。
なお、京都地裁平成30年1月11日判決は、渋滞中の車列の間を抜けてきた自動車と優先道路を直進していたバイクとの間で発生した交通事故について、修正をせずにバイクと自動車の過失割合を10:90としました。
自分が走行している道路が渋滞している場合に過失割合を修正するかどうかは裁判所により判断が分かれています。
なお、東京高裁の事例では、バイクは自動車と衝突せず、急ブレーキをかけることで転倒しましたが、裁判所は、「自動二輪車において急制動を掛けた場合に,バランスを崩して転倒することは避け難いというべきであり,バイクが急制動を掛けたのは自動車との衝突を避けるためにやむを得なかったことであるから,バイクが転倒したことについて,バイクに運転操作を誤った過失があるということはできない。」として過失割合には影響しないとしています。
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