相続をした不動産を放棄するのはどうしたらよい?(相続土地国庫帰属法)

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 いらない不動産が相続財産にある場合どうするか?

農地や山林などを中心に、もらっても却って困る不動産が相続財産の中に存在する場合があります。

相続放棄をすればそれらの所有権を引き継がなくて済みます。

しかし、相続放棄の場合、すべての遺産を放棄しなければならないので、遺産の中に相続したい財産がある場合には使えません。

また、国に対する土地の寄付もありえますが、国が欲しくない土地は寄付を受け付けてもらえません。

つまり、これまでの法制度では、不動産を手放したい人にとって十分な制度ではありませんでした。

そこで、令和3年に相続土地国庫帰属法が制定されました。参照:相続土地国庫帰属法

以下、概説します。

2 相続土地国庫帰属法の内容

相続土地国庫帰属が認められるための要件

相続土地国庫帰属法は、相続した土地についてお金を払った上で、国に引き取ってもらう制度です。

すべての土地について利用できるわけではなく、

・建物のある土地

・担保権や使用権が設定されている土地

・通路等に利用されている土地

・特定有害物質に汚染されている土地

・境界が明らかではない土地等

・崖(勾配が30度以上で、高さが5m以上)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する土地(擁壁工事を実施しなければならないような場合です)

・土地の通常の管理又は処分を邪魔する有体物が地上にある土地(樹木、工作物、放置車両、ブロック塀等が該当しますが、宅地において安全性に問題のない土地留や柵がある場合等は問題とはなりません)

・除去しなければ土地の通常の管理又は管理をすることができない有体物が地下にある土地(産業廃棄物、ガラ、既存建物の基礎部分、古い水道管、浄化槽、井戸、岩等です。小さな配管等であれば問題とならない可能性があります)

・訴訟等によらなければ通常の処分又は管理をすることができない土地(隣地所有者により公道までの通路使用が妨げられている土地、不法占拠されている土地等です)

・通常の管理又は処分をするにあたり過分の費用又は労力を要する土地(土砂崩れなど災害の発生のおそれがあり、それが第三者の生命身体財産に害を与えるおそれがあるため、費用をかけて工事を要するような場合です)

・土地に生息する動物により、土地等に被害を生じさせる土地

・国による整備が必要な森林

・国が国庫帰属に伴い金銭債務を取得するもの

については同法を利用することはできません。

それ以外の場合、国は、土地所有権を取得しなければなりません。

相続土地国庫帰属の手続き

相続土地国庫帰属については、土地のある場所を管轄する法務局や地方法務局に対し、承認申請書と添付書類を提出して行うことになります。

審査手数料は土地一筆あたり1万4000円です。

申請書には、承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面、承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界線を明らかにする写真、承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真を添付する必要があります。

審査には半年から1年かかるとされています。

審査の結果、国庫帰属を承認することになった場合、負担金の納付を求める通知が送られてきます。

この金額は一筆20万円が基準となりますが、土地が所在する地域に応じて、面積により負担金が計算される可能性もあります。

負担金は負担金の納付を求める通知が来てから30日以内に日本銀行に納付することになります。

納付した時点で土地の所有権が国に移転することになります。

期限内に納付をしないと国庫帰属の承認が失効になります。

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