トラック運転手の残業代・割増賃金はどのように請求したらよいのか?

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

新潟で残業代・割増賃金の請求は新潟県弁護会所属弁護士齋藤裕にお任せください

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1 トラック運転手と労働時間規制

トラック運転手については、令和6年4月から時間外労働の上限が年960時間となります。

それ以外にも、以下のとおり、トラック運転手については労働時間についての規制があります。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)においては、

・1ケ月の拘束時間は原則293時間、労使協定を締結した場合には320時間

・1日の拘束時間は13時間(延長しても16時間)

・1日の休息期間は勤務終了後、8時間以上が必要

などとされています。参照:自動車運転手の労働時間についての告示

改善基準告示において、運転時間については、2日平均で9時間、2週間を平均した1週間あたりの運転時間は44時間、連続運転時間は4時間(それを超えて運転させる場合には30分以上の休憩が必要)

とされています。

2 トラック運転手と残業代・割増賃金

以上のとおり、トラック運転手については、他の業種とは異なる労働時間規制がなされていますが、残業代・割増賃金については通常の場合と同様です。

1日8時間、1週40時間を超える残業については25%(月60時間を超える場合は50%)、休日労働の割増賃金は35パーセント、午後10時から午前5時までの割増賃金は25%、時間外・深夜労働の割増賃金は50%、休日労働・深夜の割増賃金は60%の割増賃金を付加することになります。

トラック運転手についても上記基準で判断されますし、固定残業代についても一般の場合と同様に判断されます。

トラック運転手の割増賃金(固定残業代)について判断した裁判例としては、大阪地裁令和4年10月13日判決があります。

同判決は、業績手当、運行手当について、時間外労働の対価として説明されたことがなく、名称からも

残業代に対するものとはみられないとして、残業代として認めず、基礎賃金とすべきとしました。

3 トラック運転手の労働時間をどのように認定するか?

トラック運転手は移動が多いため、その労働時間の把握は通常の労働者とは異なったものとなりがちです。

トラック運転手の労働時間認定には、運転日報及びタコグラフ・タコチャート紙が使われることが多くあります。

例えば、津地裁令和5年5月30日判決は、トラック運転手側が、「運転日報及びタコチャート紙という比較的客観性の高い証拠を基礎に」労働時間を主張しているとして、運転日報及びタコチャート紙をベースにした労働時間の認定をしています。

その他、目的地が明らかな場合には、目的地に行くために一般的に要する時間などをもとに労働時間を算定することもありうるでしょう。

それでは重要な証拠である運転日報やタコチャート紙がない場合はどうしたらよいでしょうか?

大阪地裁令和6年3月26日判決は、「労働基準法109条に基づき、賃金その他労働関係に関する重要な書類に当たる運行日報やタコメーターを5年間保存すべき義務を負っているにもかかわらず、これらを保存していない」として、使用者が運行日報やタコメーターを保存していない場合に、労働者側に有利な労働時間の認定をしています。

このように、労働時間を示す資料がないことが使用者の義務違反による場合については、使用者が義務違反をしていることをきちんと主張し、その故に労働者側主張の労働時間が認められるべきだとの主張をすることが有効な場合があります。

4 新潟で残業代請求については弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください

労働時間一般についての記事もご参照ください。
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