大学院進学費用・留学費用と特別受益(相続)

相続問題

1 特別受益とは?

民法第九百三条は、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」と規定しています。

つまり、相続人の中に、被相続人から生前等にお金などをもらっていた人がいた場合、そのお金を計算上遺産に戻す処理をし、その上で遺産分割の金額を計算することになります。

相続人は子どもAとBの2人、遺産が1000万円、Aが被相続人の生前に家の購入費用500万円を援助してもらっていた場合、500万円を特別受益とし、1000万円+500万円=1500万円を分割対象とします。その場合、Aは750万円、Bは750万円取得できますが、Aは既に500万円を家の購入費用として受け取っているので、新たに受け取ることができるのは750万円-500万円=250万円となります。

 

2 進学費用と特別受益

進学費用も特別受益となる場合があります。

しかし、裕福で教育水準の高い家庭については、大学進学学費が扶養の一部とされ、特別受益とはされないことがあります。

そうはいっても、大学院進学費用については扶養の一部とされることは少なく、特別受益の対象となることが多いと思われます。

この点、名古屋高裁令和1年5月17日決定は、大学院進学費用・留学費用を扶養の一部とし、特別受益であると認めませんでした。

同決定は、

・被相続人一家は教育水準が高く、その能力に応じて高度の教育を受けることが特別なことではなかったこと

・大学院に進学し、留学した相続人(Xといいます)において、学者、通訳者又は翻訳者として成長するために相当な時間と費用を要することを被相続人が許容していたこと

・Xが自発的に被相続人に相当額を返還していること

・被相続人がXに対して援助した費用の清算や返済を求めるなどした形跡がないこと

・被相続人は生前経済的に余裕があり、他の相続人やその妻に対しても高額な時計を譲り渡したり、宝飾品や金銭を贈与したりしていたこと

・他の相続人も一橋大学に進学し、在学期間中に短期留学していること

などとして、大学院進学費用・留学費用を特別受益に該当しないとしました。

 

このように特別受益に該当するかどうかは、その支出自体の性質のみならず、被相続人一家の経済的状況、他の相続人の進学状況等によっても左右されることがあるので、総合的に検討することが必要です。

 

3 新潟で相続、特別受益のお悩みは弁護士齋藤裕へ

新潟で特別受益、相続のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です