危急時遺言の効力

さいとうゆたか弁護士

1 危急時遺言

遺言としては、自分で全文自筆で記載する自筆証書遺言、公証人が作成する公正証書遺言が有名であり、数も多いです。

しかし、亡くなることを想定しないでいたところ、新型コロナなどの急病で入院し、自筆証書遺言や公正証書遺言を書くことができない場合もあるでしょう。

そのような場合には危急時遺言を利用することができます。

 

2 危急時遺言の要件

民法976条は、危急時遺言の要件について定めます。

・病気などのため死亡の危険が迫った人が遺言をすること

・証人3人が立ち会う必要があること
・証人のうち1人に口で遺言の内容を伝えること
・伝えられたものが内容を筆記して、遺言者と証人に読み聞かせるなどした上、証人がその正確さを確認し、署名・押印すること
が作成時に必要な要件です。
 作成後、
・遺言の日から20日以内に家庭裁判所に確認を請求すること
・家庭裁判所が、遺言が遺言者の真意に出たものであることの心証を得て、確認すること
の要件も満たさないといけません。

3 遺言者の真意に出たこと

東京高裁令和2年6月26日決定は、危急時遺言における真意性について争われたケースについて、判断を示しており、参考になるのでご紹介します。

同決定は、

・「誰に財産を相続させますか。」と尋ねたのに対し,遺言者が,特定の人の名前を自発的に述べたこと、

・さらに「他の方はどうですか。」と尋ねたのに対し、遺言者が、「いない」などと回答したこと

・遺言内容が従来の遺言者の意思に合致すること

・遺言内容が相続人との人間関係から合理的と考えられること

・単純な内容であること

などを理由に、当該危急時遺言は真意に出たものだと判断しました。

ここで重要なのは、遺言者に対する質問と回答の内容によって真意であることが認定されていることです。

オープンクエスチョンに対して遺言者が適切に回答している点が重要です。

また、そもそも、遺言者の発言内容自体争われる可能性もあります。

そうなると、危急時遺言については、適切な質問をなしうること、遺言者の発言内容を客観的な立場から立証できることが重要です。

よって、できれば弁護士を証人とすることが望ましいことになるでしょう。また、遺言者の発言の録音も考慮すべきでしょう。

4 新潟で遺言、相続のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

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