高所作業車が高圧線に接触し作業員男性2人が死亡 高所作業車での事故と安全配慮義務(労災)

さいとうゆたか弁護士

1 高所作業車が高圧線に接触し、作業員男性2人が死亡との報道

報道によると、高所作業車が高圧線に接触し、作業員男性2人が死亡したとの報道がなされています。
亡くなられた方にはお悔み申し上げます。

高所作業車が高圧線に接触する事故は重大な結果を招くため、電線の近くで高所作業車による作業をさせる使用者には高度な安全配慮義務が課せられています。
以下、解説します。

2 高圧線の近くで高所作業車を使って作業する場合についての法令の規定

法令上、高圧線の近くで高所作業車を使って作業する場合において、使用者には以下の義務が課せられています。

労働安全衛生規則

(工作物の建設等の作業を行なう場合の感電の防止) 第三百四十九条 事業者は、架空電線又は電気機械器具の充電電路に近接する場所で、工作物の建設、解 体、点検、修理、塗装等の作業若しくはこれらに附帯する作業又はくい打機、くい抜機、移動式クレー ン等を使用する作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が作業中又は通行の際に、当該 充電電路に身体等が接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるときは、次の各 号のいずれかに該当する措置を講じなければならない。 一 当該充電電路を移設すること。 二 感電の危険を防止するための囲いを設けること。 三 当該充電電路に絶縁用防護具を装着すること。 四 前三号に該当する措置を講ずることが著しく困難なときは、監視人を置き、作業を監視させること。

基発第759号 昭和50年12月17日 移動式クレーン等の送配電線類への接触による感電災害の防止対策について

1 送配電線類に対して安全な離隔距離を保つこと。
2 監視責任者を配置すること。

3 作業計画の事前打合せをすること。

4 関係作業者に対し、作業標準を周知徹底させること。

 

よって、高圧電線自体に措置をとることができない場合、使用者としては、監視人や監視責任者を置くこと、作業計画の事前打ち合わせをすること、作業標準の周知徹底などの義務を負うことになります。

3 高圧線の近くで作業して発生した事故についての裁判例

高圧線の近くでクレーン車を使って作業をしていたために発生した事故についての裁判例としては、東京地裁平成28年6月27日判決があります。

同判決は、当該訴訟の被告について、

・本件作業現場に監視人(監視責任者)を置いておらず,また,それに代わる措置を講じていない

・急な作業内容変更により、高圧送電線にクレーンのブームが接近する危険が生じたので、受託会社の従業員に対して高圧送電線に注意するよう促したり,ブームが高圧送電線に接近することがないか監視したりする注意義務があったのに、高圧送電線の存在について何ら注意を与えておらず,また,本件作業が行われている際,本件クレーン車の付近にいながら,クレーンのブームの旋回中,同作業から目を離していた

として、過失を認めています。

同判決は、労働安全衛生規則や基発第759号に沿って義務違反を認定していると言えます。

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