フォークリフトによる労災の損害賠償

交通事故

1 フォークリフトによる労災事故

フォークリフトによる労災事故は比較的多く発生しています。

裁判例でも、フォークリフトによる事故について使用者などの責任を認める事例が多くあります。

フォークリフトが歩行者である労働者に衝突した事故についての名古屋地裁平成27年12月21日判決は、以下のとおり述べ、フォークリフト運転者に義務違反を認めました。

この場所で作業を行う者や,A倉庫内や構内を通行しようとする者は,フォークリフトを運転するかしないかにかかわらず,周囲の状況に十二分に注意を払い,危険が生じないようにすべき注意義務をそれぞれ負っているというべきである。
被告については,本件事故直前の原告の挙動を何ら確認していないところ,A構内の日常的な状況からすれば,A構内を歩行者が移動していることは十分に考えられるから,後退にするに当たり進路上の安全を十分に確認する必要があるところこれを怠った過失がある。

このように進路上の安全を十分確認しないままフォークリフトを走行させたことについて義務違反を認めました。

なお、同事件の控訴審である名古屋高裁平成28年6月23日判決は、義務違反を認めた結論を維持しつつ、「1審原告についても,A構内は,上記のとおりフォークリフトと歩行者が混在し,それぞれ自己責任で安全を確保すべき状況にあったのであるから,そのような状況下で,1審被告車両が走行している動線上を横切るに当たっては,同車両の挙動を十分注視すべき義務があったといわざるを得ない」として、被災労働者に15%の過失を認め、過失相殺をしています。

フォークリフトからコンテナを降ろす際に高いところからいきなりコンテナをトラックにおろしたためにトラックの運転手が負傷した事案についての東京地裁平成22年3月29日判決は、以下のように述べ、フォークリフト運転手の過失と使用者責任を認めました。

訴外Hが積荷が満載された本件冷凍コンテナを本件トラックの荷台に積載するに当たり,偏荷重のため本件冷凍コンテナがやや傾き,運転席側に隙間があったのであるから,同コンテナを持ち上げたフォークリフトを慎重に操作して安全に本件トラックの荷台に積載すべき注意義務を怠り,やや乱雑なフォークリフト操作をして本件冷凍コンテナの運転席側に落下させて衝撃を生じさせ,これにより本件トラック運転席内の原告にも物理的衝撃を与えて負傷させたことを推認することができるのであり,これと結論同旨の川崎南労働基準監督署長の労働災害認定に誤りはない。訴外Hが本件事故当時被告が使用していた者であり,訴外Hのフォークリフト操作作業は被告の事業の執行につき行っていたことは明らかであるから,被告が訴外Hの原告に対する不法行為につき使用者責任(民法715条1項本文)を負うというべきである。」

このように、荷物の降ろし方が不適切であることを理由とした義務違反を認定しています。

このようにフォークリフトでは、運転だけではなく、荷物の上げ下げの過程についても、周囲にいる者の安全を配慮すべき義務が認められることになります。

2 新潟で労災のご相談は弁護士齋藤裕へ

後遺障害が残った場合の労災保険の支給内容についての記事

労働者が死亡した場合の労災保険の支給内容についての記事

新型コロナウイルスと医療従事者の労災についての記事

無給医と労災についての記事

公立学校教員の過労死と労災についての記事

もご参照ください。
労災、労働災害でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です