地区の運動会における競技中の負傷と損害賠償責任(スポーツと損害賠償)

交通事故

スポーツをしていてケガをした場合、常に加害者に損害賠償責任が認められるものではなく、違法性が認められないとして免責される場合もあります。

その基準は、そのスポーツがどの程度の危険性を含んでいるものかなどによって異なってきます。

東京高裁平成30年7月19日判決は、地区合同運動会で行われた自転車リングリレー競技(金属製のスティックで金属製の輪を転がしながら走り、リレーをする競技)中の走者間の衝突により生じた負傷(頚椎捻挫、全身打撲、末梢神経障害)について、加害者の損害賠償責任を認めました。

同判決は、以下のとおり述べ、親睦目的で気軽に参加するという競技の性質上、衝突などについて損害賠償責任が認められないのはごく軽度の危険や衝突にとどまるとしました。

「本件競技がスポーツの一類型であることからすると、そのルールないしマナーに照らし社会的に許容される一定範囲内の行動は違法性が阻却されると解しうるものの、親睦目的で行われた本件競技の前記の性質に照らすと、その範囲内となるのは、ごく軽度の危険や衝突にとどまるといわざるを得ない」

「スポーツ競技中、ルール違反さえなければ常に違法性が阻却されると解することはできず、当該スポーツの性格や事故の生じた具体的状況に即して検討すべきところ、幅広い参加者が親睦目的で気軽に参加するといった本件競技の性格に鑑みれば、本件競技に内在している危険として違法性が阻却されるのは、前記説示のとおり、ごく軽度の危険や衝突に限られると解するのが相当である」

判決は、これらの基準を踏まえ、当該事案について通院慰謝料10万円の損害賠償を命じました。

親睦目的で気軽に参加するという競技の場合、スポーツに普段慣れ親しんでいない人、身を護る能力が十分ではない人が参加する可能性があります。

そのような参加者の身体の安全を護るという観点で、衝突などについて損害賠償責任を免れる範囲を狭くするという価値判断は十分ありうるように思います。

ただし、同事件についてはさいたま地裁平成30年1月26日判決が、衝突について違法性が阻却されるとし、損害賠償責任を認めませんでした。

ですから、東京高裁のような判断基準が一般化できるかどうか疑問もありえます。

今後の判例、裁判例の状況を注視する必要があります。

 

スポーツ事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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