新潟の労災と損害賠償

交通事故

1 労働災害と損害賠償

労災・公務災害と損害賠償

労働者が仕事によりケガをしたり、病気になったり、死亡した場合、労災保険から給付を受けることができる場合があります。

その他、使用者が安全配慮義務に違反し、その結果労働者がケガなどを負った場合には、労働者は使用者に対して損害賠償請求をすることができる場合があります。これは公務員も同様です。

労災は業務と相当因果関係がある傷病等、公務災害は公務と相当因果関係がある傷病等について補償するものです。

ここでは、使用者等に過失や義務違反があることは問われません。

この業務との相当因果関係に加え、使用者に過失、安全配慮義務違反があると使用者は損害賠償責任を負うのです。

労災や公務災害が認められると、相当因果関係が事実上推認されますので、損害賠償請求をする側は過失・安全配慮義務違反の立証に専念できることが多いです(そうはいっても、労災や公務災害で認められた相当因果関係が損害賠償訴訟などでは認められないということもないではありません)。

例えば、使用者が労働者に異常な長時間労働をさせていたような場合、安全に作業を行うために必要な設備を用意しなかったり教育をしなかったりした場合には損害賠償請求ができる場合があります。

私的行為と損害賠償

業務中の事故については、多くの場合、労災保険の支給、そして安全配慮義務違反があれば損害賠償が認められます。

しかし、業務中の事故であっても、私的事故とみられるような場合、労災保険の支給も損害賠償も認められない可能性があります。

東京地裁令和4年2月3日判決は、会社の事務所で行われた暴行行為について、

・友人間で,他の友人との間の人間関係についての話題をきっかけに行われたものであり,暴行の最中に交わされた会話の内容もほとんどが他の友人との人間関係に関するものであった

という事情のもとにおいて、暴行は,会社の業務との関連性が極めて低いものであって,会社の指揮命令下を外れた私的なやり取りであるというべきであり,いずれにしても,暴行について,会社がなんらか責任を負うことはないというべきであるとしました。

同判決は、東京高裁令和4年8月19日判決により維持されています。

なお、職場でのプライベートでの争いであっても、使用者においてそのような争いが生じうることを十分認識しうる状況で、争いの当事者の勤務場所を変更するなどの対応を取らなかった場合、使用者が賠償責任を負う余地はあると考えます。

賠償責任を負うのは誰か?

通常は雇い主が労働者に賠償義務を負うことになります。しかし、安全配慮義務が発生するような特別な関係にあればよく、下請業者の労働者が元請業者に対して賠償請求するということも考えられます。

この点、

発注者の賠償責任についての記事

元請の賠償責任についての記事

もご参照ください。

損害賠償の内容については、入院・通院日数・後遺障害に応じた慰謝料、治療費、休業損害、逸失利益などです。基本的には交通事故と同じになります。労災保険からお金が払われた場合には損害賠償額との調整がなされることになりますが、慰謝料等には影響しないとされます。

一般の不法行為の場合と同様、労働者に過失があるとされる場合、過失相殺として損害賠償額が減じられることもあります。

2 労災と損害賠償の調整

労災保険から支給がされた場合、特別支給金部分を除き、損害の性質が類似している費目について、労災保険で支払われた金額が損害賠償額から控除されることになります。

例えば、

・労災保険から遺族補償年金、障害給付、休業給付が払われた場合には逸失利益から、

・労災葬祭料は葬儀費用から、

・労災の療養費は治療費から

控除されることになります。

逆に、損害賠償が先行した場合も、損害の性質が類似している費目について、損害賠償がなされた限度で、労災支給がなされないことになります。

また、損害賠償請求権が放棄された場合、それに対応する部分について労災保険の支給がなされないことになります。

ただし、示談等について、全損害の填補を目的としているものとは認められない場合には、形式上は損害賠償請求権が放棄されたと見える場合でも、労災保険の支給が認められることになります。

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