
1 過労と死亡等との因果関係について
長時間労働等の過労があり、脳心臓疾患や精神疾患になった場合、さらにそれらで死亡した場合、業務起因性、つまり業務により災害が発生したとして労災として認められることがあります。
精神疾患については3ケ月で残業時間100時間等が目安となりますし、脳心臓疾患については1ケ月に残業時間100時間が目安となります(脳心臓血管の労災の基準についての記事をご参照ください)。
しかし、新人である、業務が質的に過重であるなどの事情があれば、目安を満たさなくても過労死とされる可能性はあります。
海外出張は、時差などにより労働者に負荷を与えるので、過労死を認定する方向に働く要素となります(海外出張と過労死についての記事をご参照ください)。
過労死の業務起因性については、
月の時間外労働時間76時間程度で過労自殺を認めた事例についての記事
月の時間外労働時間80時間未満で過労死(くも膜下出血)を認めた裁判例)
2ケ月連続で100時間超の残業をしたことで公務起因性が認められた事例についての記事
をご参照ください。
労働時間については、移動時間は含まれないという扱いが一般的ですが、移動時間は過労死判断において考慮要素とはなります。
移動時間を過労死判断において考慮すべきとした裁判例についての記事をご参照ください。
以上のとおり、労働時間が過労死認定の肝となります。
労働時間については、業務日誌、ログやセキュリティ記録も重要な資料となります。
この点、
をご参照ください。
2 長時間労働以外の過労死
長時間労働が過労死の主な原因ですが、それ以外でも、いじめ、パワハラ、ストレスの大きな業務があった場合に過労死が認められることはあります。
クレーム対応等によりルート営業者が過労死したとされた事例についての記事
もご参照ください。
3 過労死等と安全配慮義務違反
過労死等があった場合、使用者が労働者の安全に配慮しておらず、安全配慮義務違反があるとされる場合、使用者は損害賠償責任を負うことになります。
使用者がうつ病罹患について認識していなくても、長時間労働の事実を認識しうるのであれば、災害の結果を予見でき、安全配慮義務違反が成立します(臨床検査技師の過労死についての記事をご参照ください)。
使用者の安全配慮義務の中核は、労働時間を把握し、労働時間を減少させる義務ということになります(勤務時間を把握する義務違反で安全配慮義務違反を認めた裁判例についての記事をご参照ください)。
サポートなく困難な仕事に従事させたことで安全配慮義務違反があるとされた裁判例もあります。
経営陣側の労働者に対しても使用者は安全配慮義務を負います。
安全配慮義務については、
もご参照ください。
素因減額については
をご参照ください。
過労死をめぐる裁判では、使用者において、労働者がうつ病に罹患したなどの情報を使用者に申告しなかったとして過失相殺が主張されることがあります。
しかし、労働者に申告を求めることは酷であり、過失相殺が認められることは多くはありません(過労によるうつ病発症と過失相殺の記事をご参照ください)。
4 新潟で過労死のお悩みは弁護士齋藤裕へ
当職が担当したANAクラウンプラザホテル新潟過労労災事件についての記事
もご参照ください。
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