遺産分割について

相続問題

1 遺産分割の仕方

遺産分割の基準

被相続人が残した遺産の分割(遺産分割)は、遺言書があればそれに従うことになります。

遺言書があっても侵すことができない相続人の遺留分がある場合もあり、遺言により遺留分が侵害される場合には遺言書の効力が制限されることになります。

遺言書がない場合、まずは当事者間の話し合いで決めることになります。その際、法律の定める法定相続分が基準となりますが、必ずしもそれに拘束される必要はありません。

なお、法定相続分は、以下のとおりです。

子と配偶者が相続人⇒子は2分1 配偶者2分の1

配偶者と親が相続人⇒配偶者3分の2、親3分の1

配偶者と兄弟姉妹が相続人⇒配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

遺産分割の手続き

話し合いがまとまらない場合、遺産分割調停をすることになりますが、そこでも話し合いがまとまらない場合、審判手続きで裁判所が決めることになります。

なお、稀ですが、遺産分割の保全処分が行われることもあります。

東京高裁令和3年4月15日決定は、「遺産分割の審判を本案とする審判前の保全処分は,同保全処分が本案の係属を要し,本案と密接に関連しているという,民事保全と異なる面を持つ特殊な保全処分であることから,その被保全権利(すなわち,抗告人の債権者代位の対象となっている相手方〔債権者代位権の被保全権利である金銭債権の債務者〕の有する権利)は,既存の権利ではなく,本案の終局審判で形成される具体的権利となる。したがって,審判前の保全処分においては,本案の終局審判で形成される具体的権利が認められる蓋然性,すなわち本案認容の蓋然性および保全の必要性を要し,この本案認容の蓋然性は,保全処分の対象である権利関係が,本案手続において具体的に形成される見込みがあることと解される。」としています。

つまり審判で認められるであろう権利について証拠で明らかにする必要があるという点について注意が必要です。

特別受益

裁判所では、法定相続分を基礎に、相続人が被相続人から特別に利益を得ていた特別受益、相続人が被相続人の財産形成に特別に寄与をした寄与分などによる調整を行い、遺産分割を行うことになります。

特別受益は、被相続人から生前に贈与等を受けていた相続人がいる場合に、その受けていた金額について遺産に計算上戻し、それをもとに法定相続分で遺産額を割り各相続人の取り分を計算する(贈与等を受けていた相続人についてはその分を引く)というものです(民法903条)。

遺産が800万、相続人は子どもであるAさんとBさん、相続人Aさんは生前に被相続人から200万もらっていたというケースでは、800万+200万=1000万を2で割り、Bさんは500万円分取得、Aさんは500万-200万=300万取得するということになります。

寄与分

寄与分は、被相続人の財産の形成に寄与した相続人がいた場合、その寄与分について相続財産から引き、残りを全相続人で法定相続分に従い分割し、寄与した相続人はそれに寄与分を取得できるというものです。

遺産が1000万、相続人は子どもであるAさんとBさん、相続人Aさんが生前に200万円分の寄与をしていたというケースでは、1000万ー200万=800万を2分の1の400万ずつ取得、Aさんはさらに200万もらうので200万+400万=600万を取得することになります。

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