最高裁が建設アスベスト訴訟で被害者救済の判断!

さいとうゆたか弁護士

新潟でアスベストのお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

本日、最高裁が、建設アスベスト訴訟で被害者救済に途をひらく判決を言い渡しました。

どのような判決だったのか、簡単に解説します。

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1 2021年5月15日、最高裁が建設アスベスト訴訟で被害者救済の判断!

本日、最高裁は、建設アスベスト訴訟で、国と建材メーカーの責任を認める被害者救済の判断を言い渡しました。

最高裁は、昭和50年から平成16年までの間、国が事業者に、石綿粉じんなどを吸引すると重篤な病気になることの告知、防じんマスク着用などを義務付けるべきであったのにこれを怠ったとして国の賠償責任を認めました。

また、アスベストを使用した建材メーカーの賠償責任も認めました。

今後の被害者救済の基準となる判決ですので、以下、解説します。

2 アスベストと建材メーカーの責任

これまでも、例えば、東京高裁令和2年8月28日判決は、以下のとおり述べて、シェア20%以上の建材メーカーに限定したものの、建材メーカーもアスベスト被害について賠償責任を負うとしていました(被害者らは、10%と主張していました)。

「本件本件元建築作業従事者らが特定の建材メーカーの製造・販売した石綿含有建材を使用する頻度は、就労した期間全体を通して見れば、当該建材メーカーのシェアとの間に一定の相関関係が存在する蓋然性が高いということができる。したがって、建材の用途、販売経路、販売エリア等に特殊性があるなどの特段の事情がない限り、シェアが大きければ、それだけ流通量が多く、本件元建築作業従事者らの建築現場に到達した可能性も大きくなるのであって、上記のとおり、本件元建築作業従事者らの就労現場数が相当の数に上ることを勘案すると、用途を同じくする建材で、概ね20%以上のシェアを有する建材メーカーが製造・販売した石綿含有建材であれば、本件元建築作業従事者らが作業に従事していた建築現場にしばしば到達したことを是認し得る高度の蓋然性があるというべきである。」

他方、建材メーカーの賠償責任を否定する判決も存在しました。

今回の最高裁判決は、シェアが高い建材メーカーが賠償責任を負うという立証手法を認め、建材メーカーの法的責任を明確に認めました(ただし、そこで責任が認められるシェアが10パーセントなのか、20パーセントなのかはわかりません)。

各被災者の現場でどのメーカーの製品が使われたのか、逐一立証するのは困難です。

それでも今回の最高裁判決がメーカーの賠償責任を認めたことは極めて画期的と言えます。

3 1人親方に対する国の法的責任

上記東京高裁令和2年8月28日判決などは、1人親方についても国等の賠償責任を認めていましたが、1人親方については賠償責任を認めない高裁判決も存在しました。

東京高裁判決は、1人親方についても国が責任を負うべき根拠について以下のように述べていました。

安衛法22条及び57条は、第一次的には労働者の保護を図ることを目的としつつも、建設業における重層下請構造ゆえに建築現場で労働者と共に労働者と同等の立場で建築作業に従事することが常態である一人親方等の安全と健康をも確保し、もって、快適な職場環境の形成を促進することをその趣旨とするものと解される。そうすると、第一審被告(ア)国は、一人親方等に対して、安衛法22条及び57条に基づく規制権限を行使すべき職務上の法的義務を負担することから、当該規制権限の不行使は、一人親方等との関係でも違法となるというべきである。

最高裁も、今回、労働大臣が石綿粉じん曝露防止のための規制権限を行使しなかったことは一人親方との関係でも違法だとしました。

労働者と1人親方について、アスベスト被害から保護すべきという点において違いはないはずです。

そのような意味で、今回、最高裁判決が1人親方も含めて救済したことは極めて妥当であったと考えられます。

4 屋外作業者との関係

今回の最高裁判決は、屋外作業者との関係では国家賠償責任や建材メーカーの責任を否定しました。

この判断自体は問題です。

ただし、この判断は、屋外作業者についての特定の調査結果に関し、高濃度の石綿粉じんに曝露され続けてきたことの根拠が十分でないとされたことによるものです。

現場の状況から高濃度の石綿粉じんに曝露され続けていることが明らかな現場等については、屋外作業でアスベストに曝露され病気になった方について建設事業者等に対する賠償請求を検討するということになるでしょう。

5 建設業従事・非建設業のアスベスト被害者は今後どうすべきか?

2021年6月9日、建設アスベスト被害者の救済法が成立しました。建設アスベスト被害者の救済法をご覧ください。

しかし、国の責任だけを念頭に定められているためか、死亡でも1300万円であり、通常の死亡慰謝料(2000-3000万円程度)よりも割安です。差額については、別途損害賠償請求をする必要があります。

救済法の適用に関しても、管理区分等が支給要件とされているため、制度施行前から管理区分等の取得の手続きを行っておいた方がよいでしょう。

建設従事者以外は対象とならないため、建設従事者以外については、労災保険は別として、賠償請求をしないと補償を受けられないことになります。

6 新潟でアスベスト被害のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談を

弁護士齋藤裕は、20年以上じん肺の裁判に関わり、また、アスベスト労災で逆転認定を勝ち取るなどしてきました。

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