じん肺患者へのオフェブなど抗線維化薬投与と労災保険

さいとうゆたか弁護士

1 じん肺の病理

建設作業でアスベストに曝露されたり、トンネル現場で粉じんに曝露されたりすると、じん肺となる可能性があります。

じん肺は「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」であり、呼吸困難などの症状が出てきますし、続発性気管支炎等の合併症が生ずることもありま

す。

じん肺は肺の線維化が本態です。そしてこの線維化は死ぬまで続く不可逆的なものです。ですから、じん肺は悪くなることはあっても、良くなることはありません。

 

2 オフェブなど抗線維化薬の登場

しかし、最近、オフェブ、ピレスパなど、新しい抗線維化薬が登場し、線維化、つまりじん肺の進行を抑止することが期待されるに至っています。

じん肺は不可逆ですから、線維化を防止することは極めて重要です。

じん肺の線維化が進行する可能性がある場合において抗線維化薬を投与する療養上の必要性は顕著です。

 

3 労災保険でオフェブの費用を出してもらうことができるか

ところが、オフェブは極めて高価です。

そこで労災保険で薬剤代などを拠出できるかどうか重大な問題となります。

この点、じん肺法第二十三条は、「じん肺管理区分が管理四と決定された者及び合併症にかかつていると認められる者は、療養を要するものとする。」と定めています。

そのため、管理区分4であったり、合併症を発症しているじん肺患者については労災保険による支給がなされるものとされ、薬剤代などの支給がなされることになります。

問題は、管理区分3以下であり、合併症も生じていないじん肺患者です。

そのような患者でも、じん肺の進行を止めるため抗線維化薬の投与を受ける必要性は高いと思われます。

労災保険法では、業務を原因として病気となった労働者が、療養のために薬剤の投与を必要とするとき、労災保険から薬剤代を出すこととしています。

そうであれば、管理区分3以下で、合併症のないじん肺患者についても労災保険に薬剤代などの請求をなしうると解すべきです。

じん肺法の規定は、管理区分4、あるいは合併症のあるじん肺患者について、簡単に労災保険からの支給を認めるという趣旨の規定と考えるべきでしょう。

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