砂に埋もれ生き埋めとなったことと安全配慮義務違反(労災)

交通事故

1 砂に生き埋めになった事故と労災

大量の砂がある現場での作業については、砂に埋もれ死傷する危険性が伴います。

ですから、使用者としては、労働者の生命健康を護るため、立ち入り禁止など、安全配慮義務を果たす必要があります。

大量の砂がある現場で使用者が安全配慮義務を果たさず、その結果労働者が砂に埋まって、生き埋めとなった事件について、長野地裁上田支部昭和61年3月7日判決は、以下のとおり判断を示しています。

「被告立科生コンが亡昭男の使用者であることは当事者間に争いかないから、同被告会社は亡昭男との労働契約に伴なう信義則上の付随義務として、労務の性質上できるだけの配慮をして亡昭男の生命・身体・健康に危険を与えることのないように安全衛生に十分注意すべき義務(安全配慮義務)を負うものと解すべきところ、前記三に認定のとおり、被告立科生コンは「土砂に埋没することにより労働者に危険を及ぼす場所」である本件ストックヤードが南側から人が自由に出入りできる構造及び状態であったのを放置し、柵その他立入防止のための設備及びホッパーへの転落防止のための設備を設けず、本件ストックヤード内で亡昭男を作業に従事させるにあたって安全帯を使用させるなど危険を防止するための諸措置を講じず、かつ、亡昭男に対し、安全教育を十分行わなかった点において、右安全配慮義務を履行しなかったものというべきである。」

 同判決は、労働安全衛生規則の以下の条文をもとに判断をしているものと考えられます。
(ホツパー等の内部のおける作業の制限)
 第五百三十二条の二  事業者は、ホツパー又はずりびんの内部その他土砂に埋没すること等により労働者に危険を及ぼすおそれがある場所で作業を行わせてはならない。
ただし、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等当該危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。

このように、大量に砂があるような現場においては、みだりな出入りをさせないことが求められます。

また、作業をさせる場合でも、安全帯を着用させるなどの配慮をしなければなりません。

これらの配慮がないまま作業がなされ、労働者が死傷した場合、使用者は安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことになります。

新潟県内では、大量の砂の中で作業をせざるをえない現場が多くあります。

上記安全配慮義務の着実な履行が求められるところです。

2 新潟で労災のご相談は弁護士齋藤裕へ

症状固定までの労災の支給内容についての記事

後遺障害が残った場合の労災の支給内容についての記事

死亡の場合の労災の支給内容についての記事

新型コロナと医療従事者の労災についての記事

無給医と労災についての記事

もご参照ください。

労災、労働災害でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です