後遺症逸失利益について定期金賠償を認めた裁判例(交通事故)

交通事故

民事訴訟法117は、裁判所において定期金賠償(一括ではなく、一定期間にわたり定期的に一定額を支払う方法による賠償)による損害賠償を命じることがありうることを示しています。

この定期金賠償については、将来介護費用について認められることについて異論はありません。

他方、後遺障害逸失利益について定期金賠償を命ずることができるかどうか、必ずしも考えが固まっていないところです。

この点、札幌高裁平成30年6月29日判決は、後遺障害逸失利益について定期金賠償を命じました。

今後後遺障害逸失利益について定期金賠償を命ずることができるという判断が定着する上で重要なものと思われるので、ご紹介します。

同判決は、以下のように述べて、後遺障害逸失利益について定期金賠償を命ずることができるとしています。

「将来介護費用については、定期金賠償の方法が問題なく認められるところ、将来介護費用と後遺障害逸失利益とを比較した場合、両者は、事故発生時にその損害が一定の内容のものとして発生しているという点に加えて、請求権の具体化が将来の時間的経過に依存している関係にあるような損害であるという点においても共通している(この点において慰謝料などとは本質的に異なっている。)。後遺障害逸失利益の上記の性質を考慮すると、後遺障害逸失利益についても定期金賠償の対象になりうるものと解され、定期金賠償を命じた確定判決の変更を求める訴えについて規定する民訴法117条も、その立法趣旨及び立法経過などに照らして、後遺障害逸失利益について定期金賠償が命じられる可能性があることを当然の前提としているものと解すべきである」

このように後遺障害逸失利益について定期金賠償を命ずることができるとの判断を示した上で、以下のとおり当該事案において定期金賠償を命ずることとしています。

「控訴人の年齢や後遺障害の性質や程度、介護状況などに照らすと、本件における控訴人の後遺障害逸失利益については、将来の事情変更の可能性が比較的高いものと考えられること、被害者側である控訴人らにおいて定期金賠償によることを強く求めており・・・本件においては、後遺障害逸失利益について定期金賠償を認める合理性があり、これを認めるのが相当である」

このように被害者が若年であることや被害者の希望が強いことなどを理由に定期金賠償を認めています。

重大事故における後遺障害逸失利益は多額となりやすく、若年者について一括払いがなされる場合には中間利息控除により大幅減額となりえます。

そのような意味で、若年者が被害者の事故を中心に、後遺障害逸失利益について定期金賠償を求めることも積極的に検討されるべきでしょう。

 

交通事故でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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