主婦・主夫と休業損害(交通事故)

交通事故

1 主婦・主婦と休業損害(交通事故)

専業主婦・主夫の休業損害

交通事故で仕事ができなくなった場合、減収分に応じた休業損害が賠償の対象となりえます。

給与所得者であれば、給料が減少した分が休業損害額となります。

専業主婦の場合、実際に収入が下がるということはありません。

しかし、価値のある労働をしているわけですから、主婦としての仕事ができなくなった日数に応じて、女性労働者の平均賃金に応じた休業損害が賠償されることになります。

高齢の主婦・主夫

高齢の主婦の場合、女性労働者の平均収入の一定割合が基準とされます。

例えば、東京地裁令和4年1月28日判決(医療過誤についての判決です)は、以下のとおり述べ、80歳の専業主婦について、女性の平均年収の7割を基準に休業損害を算定しました。

当時80歳であり,原告X1と二人暮らしで家事労働に従事していたことが認められる。また,亡Cの生活状況や年齢に鑑みると,亡Cの基礎収入としては,賃金センサス平成25年第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の年収353万9300円の70%とするのが相当である。

また、被害者の年齢層の平均年収をもとに休業損害を算定する例もあります。

京都地裁令和3年11月9日判決は、67歳の主婦について、以下のとおり述べ、65歳から69歳女性の平均賃金をもとに休業損害を算定しています。

Aの基礎収入については,293万9200円(平成28年,学歴計・女性65歳から69歳平均賃金)の限度でこれを認めるのが相当である。

兼業の主婦・主夫

他に仕事を持っている主婦の場合、女性労働者の平均賃金と他の仕事で得られる収入とを比較し、女性労働者の平均賃金の方が多ければ、女性労働者の平均賃金をもとに休業損害が計算されます。

例えば、大阪地裁平成30年6月28日判決は、以下のとおり述べて、保険外交員としての収入より女性労働者の平均賃金の方が多いとして、女性労働者の平均賃金をもとに休業損害を計算しています。

原告X1は,保険外交員として稼働するかたわら,主婦として家事労働を行っていたものである(弁論の全趣旨)。そして,甲24及び25によれば,本件事故当時の原告X1の年収は,平成25年賃金センサス女性労働者・全学歴・全年齢における年収よりも低いと認められるから,同賃金センサスの年収353万9300円(日額9697円)を基礎収入とする。

兼業主婦が交通事故で負傷した場合、どちらかだけ休業するということもありえます。

その場合には、休業期間で調整するなどすることになります。

例えば、東京地裁平成30年1月10日判決は、以下のとおり述べ、交通事故による負傷のため家事には支障があったものの、会社員としては休業していない場合において、休業期間を短く認定することで調整をしていると考えられます。

原告X2は,会社員として稼働する傍ら,いわゆる兼業主婦として原告X1のための家事に従事していたところ,本件事故による頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)及び腰部挫傷を受傷したことによって,かかる家事に支障を来したことが認められる。
もっとも,前掲証拠から認められる原告X2の受傷部位・内容,治療経過等に加え,原告X2が上記会社員としては休業していないこと(弁論の全趣旨)に照らせば,休業損害は,日額1万0211円(争いがない)に,実通院日数64日を乗じた65万3504円(日額1万0211円×64日)と認めるのが相当である。

 

その他、休業した方の収入のみ休業損害として認めるという方法もありうると考えられます。

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