執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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2019年12月23日、新しい養育費算定表が公表されました。参照:養育費算定表
報道では、概ね養育費は増額か現状維持とされています。
算定表上の養育費がどのくらいとなるかは、従来どおり双方の収入に応じてということになります。
今回の改訂では算定表の基準がかわっただけであり、算定の仕方自体が大きく変わるということはなさそうです。
それはおくとして、本日公表された算定表について重要と思われるいくつかの点について指摘していきます。
1 養育費と成年年齢引き下げについて
養育費算定に成年年齢引き下げの影響があるかどうかが関心を集めていましたが、今回公表された内容は以下のとおりです。
「改正法の成立又は施行前に養育費の終期として『成年』に達する日までなどと定められた協議書、家事調停調書及び和解調書等における『成年』の意義は、基本的に20歳と解するのが相当である」
「改正法の成立又は施行自体は、当事者間の協議、家事調停、和解、家事審判及び離婚判決において、既に合意や裁判により満20歳に達する日までなどと定められた養育費の支払義務の終期を18歳に変更すべき事由にはあたらない」
「養育費の支払義務の終期は未成熟子を脱する時期であって、個別の事案に応じて認定判断される。未成熟子を脱する時期が特定して認定されない事案については、未成熟子を脱するのは20歳となる時点とされ、その時点が養育費の支払義務の終期と判断されることになると考える」
「婚姻費用についても、子が18歳に達したことが直ちに婚姻費用の減額事由に該当するとはいえない」
このように、成年年齢引き下げは基本的には養育費や婚姻費用の終期に影響しないととらえられています。
これまでも18歳や22歳を養育費の終期ととらえる審判例はありましたので、成年年齢の引き下げが養育費の終期に基本的には影響しないという考えは従来の実務からして自然なものと考えられます。
2 養育費算定表改定と事情変更について
養育費を既に決めている場合、今回の改定を事情変更としてとらえ、増額請求ができるのではないかと言う人もいましたが、この点、事情変更には該当しないとされました。
ですから、一旦養育費を決めた場合、養育費算定表の改定があったという一事だけで養育費の増額を求めることはできません。
しかし、養育費を増額すべき事情変更が別にある場合、改定後の養育費算定表に基づき増額などが検討されることになります。
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