
1 外国人と労災
入管法が改正され、特定技能外国人の来日が今後増えることが想定されます。
これらの外国人労働者については、言語の違いに起因して労働災害の被害者となる可能性があります。
これまでも外国人労働者の労災被害は多く発生しており、使用者の責任を認めた裁判例も存在します。
例えば、名古屋地裁平成25年2月7日判決は、中国人の労働者(研修生)が、パイプ曲げベンダーで作業中に指をなくす事故にあったという事件について、使用者の安全配慮義務違反を認めました。
同判決は前提として、パイプ曲げベンダーが射出成形機に該当するとし、「本件機械は労働者の身体の一部をはさむおそれのあるものであると認められるから,被告は,労働安全衛生規則147条1項に従い両手操作式あるいは感応式の安全装置を取り付ける等の必要な措置を講じる義務があったというべきである(同規定は,研修生が作業従事者である場合にも準用するのが相当である。)」としました。
また,使用者としては,作業手順などについて教えてはいましたが、裁判所はそれでは不十分としました。
つまり、「原告は中国人であり,日本語をほとんど理解できず,また,研修生として来日した者であることを考慮すると,作業手順や注意事項及び事故発生時における対応等について,中国語で記載した書面を交付するか,中国語で説明した上,その内容・意味を正確に理解していることを確認するのでなければ,安全教育としては不十分であって,安全配慮義務を尽くしているとはいえないというべきである。」、「したがって,被告には,安全配慮義務違反があったと認められ,上記認定の本件事故の発生原因を考慮すると,被告の安全配慮義務違反と本件事故との間には相当因果関係があると認められる。」との判断を示しました。
つまり、外国人労働者については、母国語により安全教育をすべき義務があり、それを怠った場合には安全配慮義務違反となるとしたのです。
もちろん、かなり日本語能力の高い労働者であればそのような義務はないといえるでしょう。
しかし、事がある程度専門的な事柄であり、身体生命に関わる問題でもあることから、多くの外国人労働者については、やはり母国語で安全な作業方法等について教育する義務があると考えられます。それはそれほど高度な日本語能力を求められない特定技能資格で就労する外国人労働者についても同じです。
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