帝王切開後の血栓塞栓性疾患

さいとうゆたか弁護士

1 帝王切開と血栓塞栓性疾患

分娩後、母親は血栓塞栓性疾患となる可能性が高まります。

特に帝王切開後については可能性が高くなります。

静脈血栓症については下肢の浮腫、腫脹という症状が現れます。

診断のためにFDP,D-ダイマー、超音波、静脈造影検査等を行います。

肺血栓塞栓症については、呼吸困難、多呼吸、頻脈、胸痛、右心不全などの症状があります。

動脈血液ガス分析、心電図検査、胸部X線検査、肺動脈造影検査、肺換気・血流スキャンという検査を行い診断をします。

いずれもヘパリン投与等の治療を行います。

適切な検査、治療がなされない場合には母親の死亡という結果にもつながるリスクがあります。

適切な検査、治療がなされなかったために母親に障害等の結果が残った場合、医療機関側が賠償責任を負う可能性があります。

2 帝王切開後の血栓性塞栓性疾患と医療過誤

宮崎地裁平成30年9月12日判決は、帝王切開後、母親が深部静脈血栓症に罹患し死亡した、母親の左下肢には浮腫が生じていたというケースで、

本件病院の設備では,深部静脈血栓症の確定診断をすることができなかったと認められ(弁論の全趣旨),被告は,深部静脈血栓症を発症している可能性がある亡Aについて,上記の必要な措置として,高次医療機関に診断,治療を委ねる他に方法はなかったというべきである。

として、高次医療機関に転医させなかったことについて医療機関側の注意義務違反を認めました。

東京高裁令和1年12月5日判決は、一旦肺塞栓が認められ、治療を受けたところ、肺動脈圧が低下したため、医師において一般病棟に移し安静度室内フリーとの判断をしたところ、その後肺塞栓症が再発し、母親に重篤な障害が残ったという事案について、転室前に母親が「少しふわっとする」などと再発の兆しともいえる症状を訴えていたので、転室させるにしてもストレッチャー移動として塞栓が再度生ずる可能性を減らす注意義務があったのに、これを怠ったとして、医療機関側に賠償責任を認めました。

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産科医療補償制度

低酸素性虚血性脳症と医療過誤

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オキシトシン投与の医療過誤

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