
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。 土砂崩落は死亡の結果ももたらす重大な事故です。
以下、土砂崩落の労災に関し、使用者がどのような安全配慮義務を負うのかみていきます。
工事が危険な状況では工事させない安全配慮義務
東京地裁平成25年2月22日判決は、試掘作業中に土砂崩落が発生したために死亡した労働者の遺族から使用者に対する損害賠償請求を認めました。土砂崩落による事故における安全配慮義務を考える上で参考になるものと思われますのでご紹介します。
同判決は、安全配慮義務違反について以下のような判断を示しています。
「本件試掘調査に立ち会った被告のK及びGは,本件事故の前日には台風の接近により大雨が降り,朝方まで雨が残っている状況であって,本件土地が軟弱になっており,本件土地においてトレンチを掘削すれば,壁面が崩落し,トレンチ内部で作業中の者の生命身体に危険が及ぶ可能性があったにもかかわらず,本件試掘調査の実施に反対することなく掘削を開始させ,また,同調査の半ばで本件土地から離れて漫然と掘削作業を続行させ,そのために2本目のトレンチの壁面の一部が崩れるという本件事故の予兆も見逃し,掘削作業を中止することができなかったものであり,その結果Bは崩落した土砂に埋まり,死に至ったものであるから,被告にはBに対する安全配慮義務違反があったというべきである。」
このように、大雨により土砂崩落が懸念されうる状況があったのに、漫然と掘削作業をさせたことについて安全配慮義務違反を認めています。
使用者としては、天候その他土砂の崩落につながりかねない事情に留意し、労働者の安全確保を最優先に、危険であると判断される場合には掘削などの作業を回避すべき義務があるということになります。
土地の性状に合わせた工事方法を採用すべき義務
仙台高裁昭和60年4月24日判決は、造成工事中の土砂崩落により労働者が死亡した事故について発注者側(町)の損害賠償責任を認めています。同判決は、造成対象の土地について、「平行節理が走つていて掘削すれは崩落の危険があるという、土地自体の性状に特別の危険が包蔵されていた」として、発注者として「注文に当り、または工事の進行過程において、請負人に対し危険回避のために工事方法を限定し或は工事に条件を付し、その他適宣の措置を講ずべきことを求める等の注意義務がある」としています。
これは発注者についての判決ですが、当然、請負業者も、労働者との関係で、土地の性状の合わせた工事方法を採用すべき義務を負うべきことになります。
立ち入り禁止措置を講じる安全配慮義務
大量の砂がある現場での作業については、砂に埋もれ死傷する危険性が伴います。ですから、使用者としては、労働者の生命健康を護るため、立ち入り禁止など、安全配慮義務を果たす必要があります。
大量の砂がある現場で使用者が安全配慮義務を果たさず、その結果労働者が砂に埋まって、生き埋めとなった事件について、長野地裁上田支部昭和61年3月7日判決は、以下のとおり判断を示しています。
「被告立科生コンは「土砂に埋没することにより労働者に危険を及ぼす場所」である本件ストックヤードが南側から人が自由に出入りできる構造及び状態であったのを放置し、柵その他立入防止のための設備及びホッパーへの転落防止のための設備を設けず、本件ストックヤード内で亡昭男を作業に従事させるにあたって安全帯を使用させるなど危険を防止するための諸措置を講じず、かつ、亡昭男に対し、安全教育を十分行わなかった点において、右安全配慮義務を履行しなかったものというべきである。」
同判決は、労働安全衛生規則の以下の条文をもとに判断をしているものと考えられます。 (ホッパー等の内部のおける作業の制限) 第五百三十二条の二 事業者は、ホッパー又はずりびんの内部その他土砂に埋没すること等により労働者に危険を及ぼすおそれがある場所で作業を行わせてはならない。 ただし、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等当該危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。
このように、大量に砂があるような現場においては、みだりな出入りをさせないことが求められます。
また、作業をさせる場合でも、安全帯を着用させるなどの配慮をしなければなりません。
これらの配慮がないまま作業がなされ、労働者が死傷した場合、使用者は安全配慮義務違反として損害賠償責任を負うことになります。
新潟県内では、大量の砂の中で作業をせざるをえない現場が多くあります。
上記安全配慮義務の着実な履行が求められるところです。
採石工場での採石作業中の労災事故
採石作業は落石などの危険を伴うものであり、安全への配慮が必要とされます。そこで、労働安全衛生規則は、以下のとおり、落石などの発生を防止するための措置を講じなければなりません。
(点検) 第四百一条 事業者は、採石作業を行なうときは、地山の崩壊又は土石の落下による労働者の危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。 一 点検者を指名して、作業箇所及びその周辺の地山について、その日の作業を開始する前、大雨の後及び中震以上の地震の後、浮石及びき裂の有無及び状態並びに含水、湧ゆう水及び凍結の状態の変化を点検させること。 二 点検者を指名して、発破を行なつた後、当該発破を行なつた箇所及びその周辺の浮石及びき裂の有無及び状態を点検させること。 (掘削面のこう配の基準) 第四百七条 事業者は、岩石の採取のための掘削の作業(坑内におけるものを除く。以下この条において同じ。)を行なうときは、掘削面のこう配を、次の表の上欄に掲げる地山の種類及び同表の中欄に掲げる掘削面の高さに応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下としなければならない。ただし、パワー・シヨベル、トラクター・シヨベル等の掘削機械を用いて掘削の作業を行なう場合において、地山の崩壊又は土石の落下により当該機械の運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。 (崩壊等による危険の防止) 第四百八条 事業者は、採石作業(坑内で行なうものを除く。)を行なう場合において、崩壊又は落下により労働者に危険を及ぼすおそれのある土石、立木等があるときは、あらかじめ、これらを取り除き、防護網を張る等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
このように、使用者としては、作業開始前に土石の落下などが生じうる状態でないかどうかのチェックすること、掘削面の勾配を基準値以下とすること、落下などの危険などのがある石などがあるときにはあらかじめ取り除くことなどの義務を負っています。
これらの義務は、使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容に含まれると考えられ、これに違反した場合には使用者は損害賠償責任を負うことになります。
今回の事件で義務違反があったかどうかは不明ですが、今後労基署により調査がされるものと思われます。
新潟で労災のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください
労災についての一般的な記事労災と損害賠償についての記事
労災保険についての記事
当職が担当したANAクラウンプラザホテル新潟過労労災事件についての記事
新型コロナと労災についての記事
もご参照ください。
新潟で労災、過労死のお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。