公務上の災害の争い方

交通事故

1 地方公務員の公務災害の争い方

地方公務員の災害補償請求が認められなかった場合、地方公務員災害補償基金支部審査会への審査請求、審査会への審査請求の他、審査会決定等の取消しなどを求める行政訴訟を起こすことが考えられます。

2 国家公務員の公務災害の争い方

国家公務員の場合は人事院に審査を申し立てることができます。
国家公務員の場合に注意すべきは、訴訟を起こす場合、取消訴訟ではなく、災害補償を求める訴訟を起こすことになるということです。
これは、国家公務員の災害補償請求権は行政処分により発生するのではなく、公務上の災害等の国家公務員災害補償法の定める災害補償の要件を満たすことで当然に発生すると解されているためです。
公務上の災害に当たらないとの認定も、審査申立を棄却する判定も、行政事件訴訟法3条2項にいう行政処分には当たらず、抗告訴訟の対象にはならないとされてきました(東京地裁平成17年9月26日・判例秘書L06033526等。治癒認定通知が行政処分に該当しないとしたものとしては、東京高裁平成6年2月10日・労働判例672号92頁があります)。
よって、国家公務員の災害補償がなされないことに納得がいかず裁判をする場合には、端的に、裁判において、公務上の災害等の国家公務員災害補償法が定める災害補償の要件を満たすことを主張し、同法に基づく災害補償請求をすれば足りることになります。
災害補償を受ける地位にあることの確認を求める訴訟も適法とされています(東京地裁平成25年5月16日・判例秘書l06830401)。
地位確認請求については、大阪地裁平成20年6月25日(判例秘書L06351073)は、国家公務員災害補償法上の補償と福祉事業の給付請求と合わせその給付を受ける権利を有する地位にあることの確認を求めたことについて、確認を求める法律上の利益はないとしている。他方、福岡地裁昭和61年12月9日判決(労働判例490号36頁)は、「公務に起因する脳卒中に伴う権利を有する者であることを確認する」との確認請求について、「原告の場合、既に国家公務員を退職しているとはいえ、現に国家公務員共済組合法上の廃疾年金が公務によるものでないとされ、不利益を受けているほか、退職時までの定期昇給延伸、恩給、退職手当等における不利益、国家公務員災害補償法に基づく各種補償の面での不利益等を受けているのであるから、個々的に給付の訴えの途があるのはいうまでもないが、これらの不利益を除去する抜本的な手段として、右のような権利ないし地位の確認を求める利益があると認めるべく、右確認の訴えをなし得ると解するのが相当である」としているところです。これら2つの裁判例は矛盾した判断を示しているようではありますが、国家公務員災害補償法に関わる側面以外の多種多様な手続きとの関連で確認を求める利益があることを提示できたかどうかで差が出てきたと解釈することもできるでしょう。

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