
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 保護者とのトラブルと過労自殺・過労死
学校や保育園など、学校や施設の種類を問わず、教員や保育士にとって、保護者とのトラブルは強いストレスを与えるものです。
場合によっては過労自殺・過労死に結びつく場合もあります。
この点、長崎地裁令和3年1月19日判決は、保育士の自殺について、保護者とのトラブル等の業務上の負荷が原因で保育士がうつ病に罹患した、その結果自殺をしたとしました。
その上で、保育園側に安全配慮義務違反を認め、自殺に伴う損害について賠償を認めました。
保護者とのトラブルをめぐる過労自殺・過労死事案について参考になる裁判例と思われるので、ご紹介します。
2 保護者とのトラブル等とうつ病罹患の因果関係
長崎地裁は、
ⅰ 保護者らが保育園で虐待がなされたと訴え、会合において被災労働者が保護者から虐待をしたかどうか問われ、これを否定したものの、保護者からは強く追及をされた、追及は威圧的でテレビカメラも入っていた、
ⅱ ⅰの騒動もあり、退職した職員も複数いた、
などの事情を踏まえ、上記トラブルなど業務が原因で被災労働者がうつ病に罹患したものとしました。
また、自殺との因果関係も認めました。
保護者とのトラブルも、執拗に追及されるようなものであればうつ病の原因として認められることになります。
3 保育園側の安全配慮義務違反
長崎地裁は、虐待騒動を受け被災労働者を含む多くの職員が心身に不調を来し保育園においてカウンセリングなどの措置がなされていたこと、被災労働者が目に見えて痩せてきていたことなどを踏まえ、保育園側には、うつ病罹患、ひいては自殺等についての予見可能性があったとしました。
その上で、保育園側は単発的に臨床心理士によるカウンセリングを実施したものの、被災労働者の心理的負荷が継続しているのにカウンセリングを継続していない等として、十分な措置を講じているとは言えず、安全配慮義務違反があったとしました。
自殺という重大な事態が想定される状況において、アリバイ的にカウンセリングを実施すればよいわけではないとの判断を示したことは妥当と考えます。
4 新潟で過労死のお悩みは弁護士齋藤裕へ
当職が担当したANAクラウンプラザホテル新潟過労労災事件についての記事
もご参照ください。
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