鳥越クリーンセンターでの労災死亡事故での刑事告訴・民事訴訟

さいとうゆたか弁護士

第1 民事訴訟提訴

1 2023年11月20日、鳥越クリーンセンターでの労災死亡事故について、ご遺族の代理人として、被告を長岡市ほか1名として、新潟地裁に民事訴訟を提訴しました。

請求内容は以下のとおりです。

1 被告らは、原告阿部均に対し、連帯して、5259万5645円及びこれに対する令和4年11月25日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

2 被告らは、原告阿部由香里に対し、連帯して、5259万5644円及びこれに対する令和4年11月25日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は被告らの負担とする。

請求の理由は、被告長岡市の担当職員においては、業務として焼却場のピット右側扉を撤去するか、その近辺への作業員の立ち入りを禁止する措置を講ずべき注意義務を負っていたところ、僅かな注意を払えば、劣化したピット右側扉の脱落によって周囲の作業員が被害を受ける事故の発生を容易に予見し、上記措置を講ずることで事故の発生を回避し得たにもかかわらず、これを怠るという著しい過失(重過失)により、本件事故を生じさせたという点にあります。

2 第1回期日

2024年1月31日、新潟地裁で第1回口頭弁論期日が開かれました。

この期日では訴状を陳述しました。

また、原告は、お子様を亡くした切ないお気持ち、被告長岡市の不誠実な対応について切々と陳述

をしました。

被告長岡市らは、請求棄却を求める答弁書を提出しています。

請求棄却を求める理由は明らかにされていません。

今後、具体的な書面が提出されることになるでしょう。

しばらくは双方が主張や書面の証拠を出し合うということになります。

今後もご支援などよろしくお願いします。

第2 刑事告訴

なお、2023年8月24日には、鳥越クリーンセンターでの労災死亡事故について、与板警察署に刑事告訴に行きました。

内容は以下のとおりです。

1 告訴罪名

告訴罪名は、刑法第211条(業務上過失致死傷罪)です。

2 当事者

告訴人は被災労働者のご両親、被告訴人は鳥越クリーンセンターの事故当時の職員です。

3 告訴内容

告訴内容は下記のとおりです。

被告訴人は、その業務として勤務する鳥越クリーンセンター(長岡市所有の焼却場)について、焼却場のピットの扉について、
・「(扉が)全体的に腐食が進行している。また、下部ガラリの破損が見受けられる」、「要補修」とされていたこと(「鳥越クリーンセンターごみ焼却施設精密機能検査報告書」(平成28年3月、長岡市)54,61,62,80頁)
・アイテック株式会社撮影の写真でも右側扉自体劣化していることが明らかであったこと(令和3年11月3日撮影の、アイテック株式会社作成の報告書上の写真)
・令和4年11月3日には左側扉が落下していており、同時期に設置され、左側扉と同様に全体的に腐食していた右側扉についても同様に落下が懸念される状況があったこと
等の事情があったことから、業務として、令和4年11月7日までに右側扉を撤去するか、その近辺への立ち入りを禁止するべき注意義務を負っていたが、予算の都合及び施設供用の終了時期が近い(翌年)ことからそれらの措置をしない過失により、令和4年11月25日午前4時50分ころ、右側扉を脱落するに至らせ、その結果、告訴人らの子どもであり鳥越クリーンセンターに作業員として勤務していた阿部和紘が扉の下敷きとなり、同日午前6時02分に死亡したものである。

4 告訴内容の裏付け

以上の内容については、2022年12月28日長岡市代理人弁護士の回答書に、「2022年11月3日以降も、右側扉はピット側に開けたままにしてありました。これは、扉が常にピット側にあることで、万一、右側扉が何らかの原因で落下するようなことがあったとしても、左側の扉と同様にピット内に扉が落下するため、プラットフォーム側で作業をする作業員には危険がないと判断したことからです」との記載があり、右側扉の落下について予見があったことが裏付けられます。
それにも関わらず、予算の都合及び施設供用の終了時期が近いことからそれらの措置をとらなかったことは、2022年12月28日長岡市代理人回答書添付書面から、長岡市から維持管理を受託していたアイテック株式会社から「メーカー推奨の整備は抜けなく実施」との要望に対し、長岡市職員が「予算に限りがある。重点箇所に絞っての整備となる」、「不具合発生設備については直ちに整備」との要望に対し、長岡市職員が「終了期間を考慮し対応を検討する」とのやりとりがあったことから裏付けられます。

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