教員の過労死と風呂敷残業、部活(労災、公務災害)

さいとうゆたか弁護士

1 教員の過労死

 

教員は労働時間が長く、過労死も多く発生しています。

教員について特に問題になるのが、風呂敷残業や部活についてどう評価するかです。

これらについては労働時間にカウントすべきではないとの主張も考えられ、どうすべきか問題となります。

以下、裁判例を検討します。

2 風呂敷残業、部活の時間も踏まえて過労死認定をした裁判例

福岡高裁令和2年9月25日判決は、以下のとおり述べ、風呂敷残業、部活の時間も労働時間にカウントし、小学校教諭が脳幹出血で死亡した事案について、過重労働による公務災害と認定しました。

風呂敷残業時間

控訴人の時間外労働時間には,自宅での作業時間が含まれているところ,自宅での作業は,職場における労働に比して緊張の程度が低いということができる。しかし,前記認定の控訴人の業務内容に加え,別紙12及び13のとおり認められる時間外労働の状況からすれば,控訴人は,本件発症前1か月間において,通常の出勤日は午後7時ころまで本件小学校で時間外労働をした上で,仕事を持ち帰り,自宅で公務に該当する業務を行っていたと認められ,これらの事情によれば,控訴人は,職場で時間外労働をした後,そこで終了させることのできなかった文書やプリント類の作成の業務を自宅で行うことを余儀なくされていたものと認められる。また,その自宅作業の時間及び時刻からすれば,控訴人は,自宅作業を行うことを余儀なくされた結果,睡眠時間が減ったものと認められる。

部活時間

本件発症の前日である12月13日においても,控訴人は,本件小学校から帰宅後,午後8時44分から午後11時37分まで自宅で業務を行っていたことが認められ,12月14日は午前7時40分に本件小学校に出勤している(甲1・53頁)から,本件発症の前日の夜から朝にかけての睡眠時間も短いものであったと認められる。」
「控訴人は,本件小学校での授業のない土曜日や日曜日に,部活動の試合の引率を担当することもあり,本件発症前1か月間では3回(11月20日,同月26日,12月10日)行っていた。この部活動の試合の引率は,本来休日である土曜日又は日曜日に,午前の早い時間に自宅を出て対応することを余儀なくされていたものであって,睡眠時間及び休日の休息の時間を減少させ,控訴人の疲労の回復を遅らせる要因となったものということができる。

このように、教員の過労死については風呂敷残業時間、部活時間も含めて労働時間にカウントした上で、労災や公務災害該当性が判断されることになります。

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