親権者変更はどのような場合に認められるか?新潟県の弁護士が解説しました

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 親権者変更について

民法第八百十九条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。」と定めています。

2026年4月1日の改正民法施行後は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」との条文となります。

2026年3月までの民法では、事情変更は明示的な要件とはされていませんが、一般的には事情変更の有無・程度も考慮されてきました。

2026年4月1日施行の改正民法819条8項では、「第六項の場合において、家庭裁判所は、父母の協議により定められた親権者を変更することが子の利益のため必要であるか否かを判断するに当たっては、当該協議の経過、その後の事情の変更その他の事情を考慮するものとする。この場合において、当該協議の経過を考慮するに当たっては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無又は裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第一条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。)の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案するものとする。」として、親権者変更の際に考慮されるべき事情(事情変更等)が明記されています。

親権変更をしたい場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる必要があります。話し合いだけで親権変更をすることはできません。

なお、親権者変更をしないとの合意は無効です。参照:親権者変更合意を無効とした判決

2 親権者変更の具体的判断

親権者変更を認めなかった東京高裁平成30年5月29日決定

東京高裁平成30年5月29日決定は、以下のとおり述べて、離婚時まで子どもの主たる監護者であった非親権者からの親権者変更申立について、親権者が適切な監護をし、子どもも安定しているとして、親権者変更を認めませんでした。

抗告人と相手方は,双方が真意に基づいて未成年者の親権者を抗告人と定めて離婚する旨合意しており,その後の抗告人による未成年者の監護状況は,未成年者の福祉に適ったものであり,相手方と未成年者の面会交流についても積極的な対応を行っていて,未成年者も安定した生活を送っているといえ,一方,未成年者は3人で生活したいとの意向こそ有しているものの,父母のいずれか一方と生活したいとの意思は持っておらず,現状の生活状況を変更し,相手方の下で生活したいとの意向を有しているとはいえない。
そうすると,相手方が未成年者の出生から抗告人との離婚に至るまで,未成年者の主たる監護者であったといえることや,離婚後,相手方にかねて予想し得るものではあったものの一定の事情の変更があったこと,相手方においても未成年者の福祉に適った監護養育環境を用意できることを考慮しても,抗告人と相手方が合意に基づいて親権者を抗告人と定め,抗告人の下で安定した状況にある未成年者の親権者を変更することは相当ではなく,親権者を相手方に変更する必要性は認められないというべきである。

親権者変更を認めた東京家裁平成26年2月12日決定

他方、東京家裁平成26年2月12日決定は、子どもが親権者と生活したくないと述べていること等を踏まえ、親権者変更を認めています。

本件報告書によれば、未成年者の相手方に対する印象・評価も良好でないことは否定し難い上、家庭裁判所調査官が未成年者に今後の生活等についての意向を尋ねたのに対しても、未成年者は、相手方と生活はしたくない旨及び現在の生活を続けたいし、また、将来的には、申立人宅に生活拠点を移転することになるであろうが、その場合にも相手方実家と行き来したい旨を述べている(このような未成年者の意向も、同人の年齢(数か月後には一一歳に達する小学校五年生である。)や本件報告書から確認できる未成年者の応答ぶり等からすると、十分な判断のもとでの意思の表明として尊重するのが相当である。)。
してみると、本件離婚後、相手方の未成年者への関わりが変化し、しかも、相手方と未成年者が生活拠点を異にするなど、未成年者を巡る監護状況に変更が生じているため、その状況に応じて、未成年者の親権者を相手方から申立人へ変更する必要があると認められる。

共同親権から単独親権への変更を認めた東京家裁令和1年12月6日決定

東京家裁令和1年12月6日決定は、外国において共同親権とされた場合において、非監護親が親権や監護権行使をせず、子との交流もしていないというケースにおいて、以下のとおり述べ、単独親権への変更を認めています。

申立人は,相手方との離婚以降,6年以上にわたって子らの監護をしており,その監護状況について問題は認められない。他方,相手方は,離婚以来,具体的に子らの親権を行使したり,監護を担ったりしたことはなく,子らとの交流もしていない。このことに加え,申立人がGとの婚姻にあたって,子らとGとの養子縁組を望んでいるところ,子らが既にGと同居しており,Gと養子縁組することが,生活環境の安定にも資することになり,子らの利益となるといえることに照らすと,子らの親権を申立人と相手方の共同親権から申立人の単独親権へと変更することが子らの利益のために必要であるといえる。

以上のとおり、親権者決定の経過(真意に基づくものかどうか)、監護状況(福祉に適った監護がなされているか)、面会交流はなされているか、子どもの生活状況(安定しているかどうか)、子どもの意思、監護をめぐる事情の変化等を踏まえ親権者変更の是非が決められることになります。
一回親権者を決めた以上、非親権者の監護環境の方が親権者の監護環境より多少良いという程度では親権者変更は認められないと考えられます。

3  共同親権と親権者変更

従来の民法819条6項は、単独親権を前提とした規定でした。

しかし、2026年4月1日から施行される改正民法の819条6項は共同親権をも想定した条文です。

ですから、単独親権→共同親権、共同親権→単独親権の親権者変更も可能となります。

ただし、「子の利益のため必要がある」との要件がありますので、単独親権→共同親権の親権者変更はそれなりにハードルが高いと考えられます。

共同親権の方が子どもにとって有益というレベルでは親権者変更は認められません。

単独親権者による親権行使が不適切であるため、親権者変更をしないと子どもの利益が害されるような場合などでない限り、単独親権→共同親権への親権者変更は認められないでしょう。

上記東京家裁令和1年12月6日決定は共同親権→単独親権の親権者変更を認めた事例ですが、例えば実態として共同監護をしているような状況が継続しているようであれば、単独親権→共同親権の親権者変更はありうるかと思われます。

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