
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 株式と財産分与
離婚の際に株式があった場合、財産分与の対象となる可能性があります。
この株式については、
ⅰ 価格が上下動するため、いつを基準時とするか
ⅱ 未公開株式についてどのように評価するか
等の問題があります。
以下、解説します。
2 株式評価の基準時
財産分与の基準時は別居時とされます。
これは別居前までは夫婦が支え合って生活しており、それまでの間に形成された財産は夫婦共有財産として推認されるからです。
ですから、別居後に得られた給料で購入した株式などは財産分与の対象とはなりません。
しかし、株式は価格が変動します。
別居時に夫婦のどちらかが持っていた株式が別居後、価格が上下動した場合、どの時点を基準に財産分与をすべきでしょうか?
この点、東京地裁平成17年6月24日判決は、「別居時点において存在した財産のうち,不動産及び株式については,その時価の変動は夫婦の協力とは無関係のものであることを考慮して,その評価を口頭弁論終結の時点に求めるのが相当である。」としています。
例えば、別居時点で100万円だった夫名義の株が離婚時に500万円となった、その他に預貯金が400万円ある場合について考えてみましょう。
別居時点を基準に考えると、夫は100万円(株)+400万円(預貯金)=500万円の半分、250万円-100万円(株式)=150万円を株とは別に取得できることになります。
これは口頭弁論期日基準でいうと、夫は150万円+500万円(株式)=650万円、妻は400万円-150万円=250万円を取得することになりますが、これがあまりにも不公平なことは明らかでしょう。
東京家庭裁判所家事第6部「「東京家裁人事部における離婚訴訟の審理モデル」について」は、口頭弁論終結時の評価額で算定するとしており、口頭弁論時基準時が実務の趨勢かと思われます。
ですから、基本的には、株式の価格については、口頭弁論期日を基準に考えるべきと思われます。
ただし、広島高裁岡山支部平成16年6月18日判決は、別居時と別居後の2つの時点の平均値をもって基準とすべきとしています。
株価の変動が激しく、ある時点の評価が株価で評価すると妥当性を欠く場合、平均値を使うこともありうると思われます。
3 未公開株式の評価
東京地裁平成15年2月26日判決は、株式の評価ができないとして、株式現物での分割をしています。
しかし、未公開会社と関わりのない方の配偶者が未公開株式をもらっても何ら意味がありません。
多くの場合、会社の決算書類をもとに,会社の資産-負債等=純資産額を計算をするなどして未公開株式の評価を出していると考えられます。
東京家庭裁判所家事第6部「「東京家裁人事部における離婚訴訟の審理モデル」について」も、「口頭弁論終結時に近い時期の決算報告書を提出してもらい、純資産額方式で株価を算定している」としているところです。
しかし、このような純資産額方式は、株式の評価を高額に評価しすぎるきらいがあります。
ですから、場合によっては、配当をもとに算定をする配当還元方式、類似業種比準方式などの方式、あるいはその組み合わせにより評価すべき場合もあるでしょう。
株式の評価について争いがある場合、鑑定人による鑑定をしてもらうべき場合もありますが、鑑定費用が高いことを踏まえると、よほど評価の差が大きい場合以外は、どこかの金額で妥協することも検討すべきでしょう。
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