養育費として大学の学費支払を取り決めた合意の効力

1 養育費と大学の学費

養育費として大学の学費の支払いが取り決められることがあります。

しかし、大学入学前に取り決めると、そもそもいくら学費がかかるかわからないので、ある程度抽象的に取り決めることになります。

そのような場合、取決めをどのように解釈すべきか問題となることもあります。

東京地裁平成29年12月8日判決は、大学の入学金及び授業料を半額負担するとの和解がなされているケースについて、裁判によりどのように学費負担が命じられるべきか判断を示しており、参考になるのでご紹介します。

2 将来分の学費分の支払いも命じることができるか

この裁判では、非監護親に、将来発生する学費の支払いを予め命ずることができるかどうか問題とされました。

判決は、支払が滞った場合に子どもが大きな不利益を被ることになるとして、将来発生する学費の支払いを予め命ずることができるとしました。

3 学費分養育費の支払期限

大学進学前に、養育費として大学の学費分の支払いを取り決める際、支払時期を取り決めている例はほぼないでしょう。学費をいつ大学に納めるかもはっきりしないからです。

東京地裁判決は、当該事案において、大学の学費分養育費の支払い期限が定められていないことを前提に、半期毎に子どもが学科に在籍している場合において学費分の養育費が発生する、それには期限がついておらず、監護親が請求することで遅滞となるとしています。

4 学費分として支払われれるべき金額

同判決は、和解条項で、「大学の入学金及び授業料の半額」と定められていることを前提に、それ以外の名目で大学に納めるお金については養育費の対象とならないとしています。

その理由としては、「一般に,我が国の大学においては,「入学金」や「授業料」のほか種々の名目で金員の納付が求められることが多いことは公知の事実であり,かつ,子が将来大学に進学したときに備えてその学費等に関する養育費の分担を協議するに当たっては,上記のような実情を踏まえて,名目の如何を問わず子が進学した大学に納付しなければならない金員につき分担することを意図する場合には文言上もそれが明らかになるような条項とすることも容易であるのに,本件和解条項においては「入学金及び授業料」とだけ記載されていることに鑑みれば,原告の内心はともかくとして,少なくとも被告との間で意思が合致し,協議が調ったのは「入学金」と「授業料」の半額という範囲であると解さざるを得ない。」との点をあげています。

やや形式的な判断と思われますが、養育費として大学の学費負担を取り決める場合には、「学費(入学金、授業料、施設設備費、在籍基本料、実験実習費、父母連絡会費、学友会費、その他名目を問わず大学での就学について大学に支払いを義務付けられる費用)」くらいの書き方をした方が確実だということでしょう。

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