婚姻関係破綻の認識と不貞慰謝料

離婚問題

不貞相手に対し慰謝料請求をするについては、一般の不法行為による損害賠償請求と同じく、不貞相手に故意・過失があることが必要です。

ここで故意・過失があるとされるためには、少なくとも請求者と配偶者の婚姻関係が破綻していないことを認識し(故意がないこと)、かつ、そのことに過失がないことが必要です。

実際の不貞による慰謝料請求の事案では、不貞相手において、請求者と配偶者間の夫婦関係が破綻していたと抗弁することが多いです。

しかし、実際にそのような抗弁が認められることは多くないように思われます。

この点、東京地裁平成28年1月27日判決は、以下のとおり述べて、不貞相手において婚姻関係破綻と認識していたことについて過失があったとし、損害賠償義務を認めました。

まず、同判決は、以下のとおり述べ、一応、婚姻関係破綻の認識があったとします。

「被告の原告とAとの間の婚姻関係についての認識についてみると,被告が,Aからの原告との間の生活状況を聴いたり,Aから婚姻関係が破綻していると説明を受けたりする中で原告とAとの間の婚姻関係が破綻していると信じるようになったということがうかがわれる。」

しかし、以下のとおり述べて、請求者の配偶者(交際相手)からの話や噂話のみに基づき婚姻関係破綻と認識していたとして、過失があったものとしました。

「被告が原告とAとの間の婚姻関係が破綻していると信じるに至ったのは,交際しようとしているAや,Aから話を聞いたというその友人から聞いたことだけが基本となっている(なお,被告は,平成23年11月11日に弁護士がAに対し原告とAとの間の婚姻関係が破綻していると話しているのを聞いたと主張するものの,そのような事実が認められないことは上述したとおりである。)のであるから,被告が原告とAとの間の夫婦関係が破綻していると信じたことについてやむを得ないものであったとは認められない。」

ただし、請求者と配偶者との間の離婚訴訟で離婚が棄却されてから、控訴審で離婚が認容されるに至るまでの間については、以下のとおり述べ、過失がなかったものとしました。

「もっとも,被告は,平成24年7月には,Aから離婚訴訟の第一審において原告とAとを離婚するという判決がされたということを聞かされていることが認められる。このことに照らすと,同年12月に控訴審において第一審判決を取り消してAによる離婚請求を棄却する判決がされ,それを被告が聞かされるまでの間については,被告が原告とAとの間の婚姻関係が破綻していたと信じ,またそのことについてやむを得ないものであったと認められる。」
「他方,この上記(3)に記載したような控訴審の判決がされたことを知った後は,被告において原告とAとの間の婚姻関係が破綻していたと信じたことについてやむを得ないものであったとは認められない。」

 

婚姻関係が破綻していると思っていた旨の抗弁は、噂話や配偶者(交際相手)の話程度では裏付けられないという点に注意が必要です。

 

不貞や離婚についてお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

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