執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 親権と監護権とは?
親権は、
子の利益のために子の監護及び教育を行う(民法820条)、
子の居所を指定する(民法821条)、
懲戒を行う(民法822条)、
職業の許可を行う(民法823条)、
子の財産を管理する(民法824条)
という権限・義務を指します。
親権者は、離婚や調停時には協議で、裁判上の離婚の場合には裁判所が決めることになります(民法819条)。
親権には民法820条で監護権が含まれていますので、原則として親権者が監護権者となります。
しかし、民法766条において、離婚時に協議で、あるいは、裁判所の定めるところにより監護権者を決めることができるともされています。
ですから、理論上は親権者と監護権者を分離することはできます。
2 どのような場合に親権と監護権を分離する?共同親権との関係は?
そうはいっても、親権と監護権を分離するケースは極めてまれです。
子どもを育てる上で、子どもの養育に関わる権限が分離していると円滑な子育てに支障があると考えられることが背景にあると考えられます。
清水節裁判官による「親権と監護権の分離・分属」(判例タイムズNO1100・144ページ以下)では。
ⅰ 親権者となるべき親が養育をなしえず、第三者が監護権者となるべき場合
ⅱ 父母が協力し、事実上共同監護と言えるような場合
ⅲ 一方を親権者兼監護者とするには不安が残り、暫定的に監護の実績を見るべき場合
ⅳ 転校がすぐにできないなどの事情でしばらく親権者のもとで子どもが生活できないような場合
を親権者・監護者の分離が是認される場合としてあげられています。
おそらくこれらの場合について親権・監護権を分離することに異論は少ないと思われます。
しかし、ⅰはかなりマイナーな場合であり、ⅲ、ⅳは暫定的な場合です。
ですから、主に親権者・監護権者が分離されるべき場合はⅱの父母が協力し、事実上共同監護と言えるような場合ということになるでしょう。
これはまさに事実上の共同親権的場合ということになると思います。
離婚後共同親権を認める改正民法が成立しましたが、当面は離婚後は単独親権制度ですから、父母の関係が円満であり、協力しあっての監護が可能であり、合意はできているものの、親権者等の名目についてマイナーな争いがあり調整が必要という場合に、共同親権の代替として親権・監護権の分離を利用することはありうるでしょう。
ただし、親権者と監護権者の分離は、父母の対立が深刻な場合には子の円滑な身上監護を困難とするものです(東京高裁平成5年9月6日決定参照)。
ですから、円満な共同監護が可能かどうかという見極めは慎重になされるべきものでしょう。
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