執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 婚姻費用と公的給付
婚姻費用算定表は子育てに要する平均的費用をもとに作られています。参照:婚姻費用算定表
そこで幼児教育・保育無償化、就学支援金支給など公的給付金が婚姻費用額に影響するのか問題となります。
養育費でも同じような問題はあります。
しかし、婚姻費用は、養育費より短期間の支払になりがちです。
ですから、幼児教育・保育無償化、就学支援金支給について支払期間内において変動する可能性が大きくない、よって算定に影響させやすいとも言え、独自の問題がありえます。
そこで、以下、幼児教育・保育無償化、就学支援金支給が婚姻費用額算定にどのように影響するか、裁判例を見ていきます。
2 婚姻費用と幼児教育・保育無償化
東京高裁令和元年11月12日決定は、幼児教育・保育無償化に関し、「幼児教育の無償化は,子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とするものであり(子ども・子育て支援法1条参照),このような公的支援は,私的な扶助を補助する性質を有するにすぎないから,上記制度の開始を理由として令和元年10月からの婚姻費用分担額を減額すべきであるとする抗告人の主張は採用できない。」として、婚姻費用に影響しないとしています。
3 婚姻費用と就学支援金
就学支援金に直接関係するものではないですが、就学支援金の前身である公立高校の授業料の不徴収制度が婚姻費用額に影響するかどうかについては最高裁の判断がなされています。
福岡高裁那覇支部平成22年9月29日決定は、「公立高等学校の授業料はそれほど高額ではなく,長女の教育費ひいては相手方の生活費全体に占める割合もさほど高くはないものと推察されるから,授業料の無償化は,抗告人が負担すべき婚姻費用の額を減額させるほどの影響を及ぼすものではない。」、「また,これらの公的扶助等は私的扶助を補助する性質のものであるから,この観点からも婚姻費用の額を定めるにあたって考慮すべきものではない。」として、公立高校の授業料の不徴収制度について婚姻費用に影響しないとの判断をしました。最高裁平成23年3月17日決定は、この判断を是認しています。
福岡高裁那覇支部決定の趣旨からすると、就学支援金についても婚姻費用には影響しないことになると思われます。
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